ジャイアントキリングのワールドカップ! 日本代表は“台風の目”になった

ワールドカップカタール大会で私たちは、強豪国が敗れる衝撃的な結果を目撃することになった。それはなぜなのだろうか?英国版『GQ』のライターが理由を考察した。
World Cup 2022 British GQ giant killings
Matthew Ashton - AMA/Getty Images

2022年ワールドカップ、グループリーグE組の最終戦の最終盤。私たちはスペインとドイツというサッカーの強豪国が敗退する姿を見ることになった。スペインは得失点差で決勝トーナメント進出を決めたいっぽう、ドイツのワールドカップは終わってしまった。これは日本とコスタリカの活躍によるものだ。スペインとドイツを悪く言うつもりはないが、このような予想を超える展開があるからこそ、人はサッカーに夢中になるのだろう。

ドイツとスペインを破り、予想を覆した日本代表

12月1日、スペインを破り、喜びを爆発させる日本代表の三笘薫選手。

Soccrates Images/Getty Images

私たちは気骨あふれる、情熱的かつ練習熱心な“弱小チーム”が、サッカー界の大御所に立ち向かい、彼らを打ち負かすのを見るのが大好きだ。ワールドカップの大舞台で繰り広げられる、ジャイアントキリングは特に魅力的だ。

サウジアラビアはアルゼンチンに、チュニジアはフランスに勝利した。なかでも日本は、コスタリカには0-1で敗れたものの、ドイツとスペインを破ってグループリーグを首位で通過し、多くの予想を覆した。

モロッコは、「黄金世代」と言われる選手たちが揃ったFIFAランキング2位のベルギーを破ってグループリーグを突破した。彼らは、2018年の準決勝のクロアチアより上位に入ったことになる。韓国はポルトガルを2-1で下し、総得点数でウルグアイを上回り、決勝トーナメント進出を決めた。また、最終的に強豪国が勝利した試合でも、惜しい展開がいくつもあった。

トップクラブ所属選手の恩恵を受ける各国チーム

12月1日、グループリーグ突破を決め、チームに祝福されるモロッコ代表のワリド・レグラギ監督。

Anadolu Agency/Getty Images

過去を振り返ると、ワールドカップの歴史には、さまざまなジャイアントキリングがあった。今回のように、接戦と衝撃的な結果が立て続けに起こるのは、世界でサッカーのレベルの格差が急速に縮まっていることを証明するものだといえる(スペインがコスタリカを7-0で下したことは、ひとまず無視しておこう)。

サッカーの世界は小さくなっている。トレーニングや戦術の質が全体的に上がっている。スタート地点に関係なく、選手がトップに立つチャンスは増えている。カナダ代表でバイエルン・ミュンヘン所属のアルフォンソ・デイヴィスや、モロッコ代表でPSG所属のアクラフ・ハキミなど、今回のワールドカップでは多くのチームがトップクラブでプレイする選手たちの経験の恩恵を受けている。何しろ、クラブレベルで毎週一緒にプレイしていれば、スーパースターのチームに圧倒される心配はないのだ。

11月27日、クロアチア戦で、ワールドカップカナダ代表史上初ゴールを決めたアルフォンソ・デイヴィス選手。

Wu Zhizhao/Getty Images

決勝トーナメントでも、グループリーグと同じような物語が生まれそうな予感がする。日本はクロアチアと対戦する。クロアチアは時折危険な動きを見せるものの、突発的なエネルギーに対しては苦戦を強いられる。日本がドイツ戦とスペイン戦で、10分間の爆発的なエネルギーで勝利したのを忘れてはならない。そしてモロッコは、こんどはスペインと対戦する。

今回の大会は、ジャイアントキリングのワールドカップだとしか言いようがない。これからどんな展開が待っているのだろう?

From BRITISH GQ Adapted by Mamiko Nakano


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