みずほFG市場部門、「日本株に魅力」投資機会に備え-輿水執行役
伊藤小巻、浦中大我-
低流動性資産を削減し運用資産総額を圧縮、投資機会到来うかがう
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急激な米国の利上げは近く終了も景気動向は慎重に見極める必要
みずほフィナンシャルグループの市場部門は、金利や景気動向を見極めながら、日本の株式や国債への投資機会をうかがっている。現在は流動性の低い資産などを削減して全体の運用資産額を圧縮し、今後の市場の動きに備え準備を進めている。
グローバルマーケッツカンパニーの共同カンパニー長を務める輿水賢哉執行役はインタビューで、好調な企業業績などを背景に上昇基調を強める日本株について、「魅力的なアセットだ」と言及。日本に影響を与えやすい米国市場の動きも注視しつつ「運用手段の一つとして考える」と述べた。
日本株全般の評価として「株価収益率(PER)が低く、株主還元や配当が魅力的で投資価値がある」とし、ETF(上場投資信託)などの買い増しに備えている。日経平均株価は22日に1990年8月1日以来、3万1000円を上回り、バブル経済崩壊後の高値を付けた。29日の終値も33年ぶりの高値を更新した。
みずほFGの連結貸借対照表によると、前期(2023年3月期)末の総資産約254兆円のうち、有価証券はその前の期末から7兆2000億円減少して37兆円となっている。内訳は日本国債17兆2000億円、外国債券10兆8000億円、日本株式3兆円など。
輿水氏は日本の経済や物価について「かなりモメンタム、ダイナミズムが変わってきており、金融政策も早晩それに向かってアジャストしていくことは考えられる」とも分析。日本銀行によるイールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)の拡大・撤廃、マイナス金利解除は今後1年内に実施される可能性があるとし、市場金利が上昇すれば日本国債を買うインセンティブが生じると述べた。
米国市場は不透明
一方、米国市場について輿水氏は、歴史的にも急激な利上げは近く終了すると見込むものの、米景気への影響は不透明だと指摘。現在は、景気後退の兆候ともいわれる短期金利と長期金利の逆転現象が起きており、先行きは予断を許さない状況だと分析している。
金融引き締め効果が経済に完全に波及するには最大1年半かかるとされ、利上げ開始から計算して、当面は7ー9月期の経済指標を注視したいという。 景気の軟着陸が見通されるなど「局面が変われば」新たな投資機会が生まれるとの認識を示した。
米国では新型コロナウイルス対策で誘発されたインフレを金融政策で抑え、景気を財政政策で下支えしているとの見方もある中、22年12月に少なくとも1960年以来で初めて前年比でマイナスを記録したマネーサプライを注視。一部銀行では預金流出も発生しており、政策の効果が「どういう経路で実体経済に効いてくるかまだまだ見えない」と述べた。
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