コンテンツにスキップする
Subscriber Only

ゴールドマンのハッチウス氏:景気後退回避は狭い道、来年利下げ困難

  • インフレを4%に下げるのは恐らく容易、その後は痛みなしでは困難
  • チーフエコノミストのハッチウス氏がインタビューで発言
Jan Hatzius, chief economist at Goldman Sachs.
Jan Hatzius, chief economist at Goldman Sachs. Photographer: Christopher Goodney/Bloomberg

米ゴールドマン・サックス・グループのチーフエコノミスト、ジャン・ハッチウス氏は、失業の大幅増加を招かずにインフレをトレンド水準に押し下げられる可能性は低いとし、リセッション(景気後退)を回避するのは狭い道だとの見方を示した。

  同氏はブルームバーグの「オッド・ロッツ」ポッドキャストでのインタビューで、サプライチェーン正常化と他の一時的要因の解消がインフレの自然な低下に寄与するとした上で、経済の過熱状態はその後も残り、それらを取り除くには痛みを伴うと述べた。

  ハッチウス氏は「より難しい部分は、インフレ率を4%から2%近辺に引き下げることだ。それを実現させるには労働市場の調整が必要だと考える。労働市場は引き続き非常に過熱している」と発言。

  「労働市場の引き締まり度合いを数値化するには、常に慎重さを要する。失業率は低いが、人口に占める雇用者の比率は危機前の水準を下回ったままだ。賃金の伸びは大幅に加速しているが、物価上昇率には依然かなり後れを取っている」と分析した。

  ガソリン価格はこの50日ほど大きく下落しており、食品価格も世界的に下がっている。サプライチェーンへの負荷も緩和しつつある。一方で、インフレの一部コア指標は減速の兆しを示していない。

  ハッチウス氏は「家賃と帰属家賃の伸びが加速し続けている」と指摘。今後数カ月は上方向へのリスクだと依然捉えているとし、インフレ押し下げに向けて米金融当局が一段の取り組みを迫られ得る理由の一つがそこにあると指摘した。 

  また、「2023年に利下げを実施するハードルは高いと考える」とし、このところ市場で見られる一部プライシングに疑問を投げ掛けた。「市場が織り込んでいる大幅利下げが実現するには、恐らく現在われわれが想定するより弱い経済環境が必要になるだろう」と語った。 

原題:Goldman’s Hatzius Sees Just a ‘Narrow Path’ to Avoid Recession(抜粋)

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE