「GQ MEN OF THE YEAR 2022」授賞式・リポート── 新時代の先駆者たちを讃える

11月30日(水)、東京・港区の東京アメリカンクラブでGQ MEN OF THE YEAR 2022の授賞式が行われた。GQ MEN OF THE YEARは1994年にアメリカでスタート、現在は世界20の国と地域で行われており、日本では17回目となる。3年ぶりに有観客で行われたこのイベントの模様を、現地より速報する。

受賞者たちが集まった。

世界中をカマしたい

19時30分、東京アメリカンクラブの瀟洒な車寄せに、2台のスタイリッシュな電動SUVが姿を現した。Audi Q4 e-tronと、Audi Q4 sportback e-tronから降り立ったのは、貴島明日香と東京03の角田晃広。GQ MEN OF THE YEAR 2022の司会を務めるふたりは、颯爽とした足取りでステージへ向かった。

「GQ MEN OF THE YEAR 2022」の授賞式の開催にあたって、まず『GQ』のグローバル・エディトリアル・ディレクターを務めるウィル・ウェルチが次のように挨拶をした。

「私の長年の夢は東京に来ることでしたが、41年かかってようやく実現しました。初めての東京は、美しくて、スタイリッシュで、セクシーで、活気があって、“Wao! “という印象です。この地で『GQ MEN OF THE YEAR 2022』の授賞式を行うことを、光栄に思っています」

ウェルチの挨拶が終わると、いよいよ受賞者の発表だ。「GQ MEN OF THE YEAR」とは、ジャンルを問わず、この1年間に人々にインスピレーションを与えた方を讃えるアワード。それぞれの分野で圧倒的な活躍を見せ、生き方、仕事、スタイルにおいてわれわれをインスパイアした時代の先駆者が登場する。

町田啓太。

まず最初に名前を呼ばれたのは、「メン・オブ・ザ・イヤー・ブレイクスルー・アクター賞」を受賞した町田啓太。2010年に俳優としてデビューした町田は2022年、映画『太陽とボレロ』をはじめ、話題作への出演が続いた。いま、最も将来が期待される俳優のひとりだ。

登壇した町田は、次のように受賞の感想を述べた。

「いままでの活動を評価していただいて、希望と勇気が湧きました。2022年は、学びの多い1年になったと思います。“ブレイクスルー”という賞をいただいたからには、壁を突破して挑戦していこうと思います」

トロフィーを手にするAwich。

続いて、「メン・オブ・ザ・イヤー・ベスト・ラッパー賞」の受賞者として、ヒップホップクルー「YENTOWN」所属のラッパー、Awichの名前が呼ばれた。Awichにとって2022年は、アルバムのリリース、フェスへの出演、そして武道館でのワンマンライブなど、飛躍の年となった。

クールな表情でステージに上ったAwichは、受賞の喜びを、こう述べる。

「ラッパーとして、女ラッパーとして、男社会のヒップホップシーンで選んでいただいたことは、光栄ですし誇りに思います。来年はアリーナ、さらに大きなステージに立つつもりです」

なお、司会の貴島明日香より、授賞式の最後にAwichのライブが行われることがアナウンスされると、会場には万雷の拍手が鳴り響いた。

那須川天心。

3人目に名前を呼ばれたのは、格闘家の那須川天心。キックボクサーとして42戦無敗の戦績を残してボクシングへの転向を発表した那須川は、2022年6月に超満員の東京ドームでキックボクサーとして最後の試合を戦った。キックボクシングでの輝かしい戦績、そしてボクシングに挑むチャレンジスピリットが評価され、「メン・オブ・ザ・イヤー・ベスト・スポーツマン賞」が授けられた。

いつものように自信満々の表情で登場した那須川は、力強い言葉でオーディエンスを湧かせる。

「東京ドームでの大一番は、あまり緊張はしなかったですね。それよりも、日本中をカマせる日なので、わくわくしていました。いま、ボクシングの練習をしていて、おとといアメリカから戻ったんですが、今度は全世界をカマしたいと思っています」

ちなみに、那須川が履いていたスニーカーは、Onitsuka Tigerが彼のためにワンオフで製作したもの。大のスニーカー好きとして知られる那須川は、世界にひとつだけのスニーカーを心から喜んでいた。

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川上未映子。

格好よさの定義を変えた

司会の角田晃広は「まだまだ豪華な顔ぶれが控えています」と、会場を煽る。4人目は、「メン・オブ・ザ・イヤー・ベスト・オーサー賞」を受賞した作家の川上未映子だ。2008年に小説『乳と卵』で芥川賞を受賞した川上は、2022年に小説『ヘブン』がブッカー国際賞の最終候補に選ばれるなど、活躍の場を世界に広げている。

受賞したいまの気持ちを尋ねられた川上は、次のようにコメントした。

「1年の仕事をこのように評価していただいて、これからの励みになります」

司会の角田晃広からリフレッシュの方法を訊かれると、こう答えた。

「ヨガをしています。運動が好きなので、走ったりもします。あとはぼーっと風景を眺めたり。最近はSNSでいろいろな国の読者がリアルタイムで感想を伝えてくれるので、そういうのを見ていると励みになります」

チョコレートプラネット。

続く受賞者は、チョコレートプラネットのふたり、松尾駿長田庄平だ。テレビやラジオはもちろん、2022年は単独ライブやYouTubeなどでさらに幅広い層からの人気を確立、これを受けて「メン・オブ・ザ・イヤー・ベスト・コメディ・デュオ賞」を受賞した。

名前を呼ばれたふたりは、「TT兄弟」のネタを披露しながら登場、司会の角田晃広に「早くステージに上ってください」と突っ込まれる一幕もあった。

ふたりは、GQ MEN OF THE YEARの誌面用の撮影が心に残っていると語った。禁酒法時代のアメリカのギャングをテーマにした撮影について、まず長田庄平はこのような言葉を残した。

「とにかく、めちゃくちゃ楽しかったですね」

これを受けて、松尾駿はこう語った。

「カメラマンの方がめっちゃおもしろくて、“ファイヤー! OK! ファイヤー! ”と叫んでました」

会場を爆笑の渦に巻き込んだふたりは、意気揚々とステージを後にした。

川原渓青。

続いて発表されたのが「メン・オブ・ザ・イヤー・インスピレーショナル・インフルエンサー賞」で、受賞したのはモデル/インフルエンサーの川原渓青だった。

川原はパラスポーツの水泳競技で活躍する一方、TikTokインスタグラムで自身のファッションを積極的に発信。義足をファッションの一部としてとらえる斬新な発想で、世の中に勇気とインパクトを与えた。

受賞の感想と今日のコーディネイトのポイントを角田晃広が質問すると、川原はこう答えた。

「3年半前に足を切断して、これが弱みになると思ったんですけれど、いまは自分だけのファッションアイテムになったと感じています。今日のコーディネイトは、義足がシルバーなのでネクタイを締めずに、シルバーのネックレスを合わせました」

格好よさの定義を変えた川原に、オーディエンスから大きな拍手が贈られた。

SexyZone。

あの俳優がさすがの存在感を見せた

会場がひときわ盛り上がったのは「メン・オブ・ザ・イヤー・ポップ・アイコン賞」の受賞者としてSexy Zoneの名前が呼ばれた瞬間だった。佐藤勝利、中島健人、菊池風磨、松島聡の4人がステージに勢揃いすると、強力なオーラが漂い、会場の雰囲気が一変した。

結成11年目となる2022年、Sexy Zoneはさまざまなジャンルを縦横無尽に駆け巡り、12月からはドームツアーを敢行する。飛躍の1年を、メンバーたちはこのような言葉で表現した。

「このような素敵な賞をいただくことができて、本当にうれしい。個人としてもグループとしても11年間いろいろなことがあったけれど、僕らの歩み方は正しかったと自信を持つことができます」(松島聡)

「グループとして素晴らしい賞をいただくことができて、これがSexy Zoneがステップアップするきっかけになると思います。個人的に、GQの賞はずっと憧れだったので、Sexy! Thank you!」(中島健人)

「2022年はどうするかを考えた時に、グループのためには個人を大きくしようと思って、ソロ活動に力を入れて取り組んできました。1年の最後に、グループとしてこのような評価をいただけたのが、本当にうれしいです」(佐藤勝利)

「こんなにたくさんの方にお越しいただき、祝っていただき、幸せです。この賞をいただいて、来年はもっとモテるようになりたいと思います(笑)」(菊池風磨)

大泉洋。

Sexy Zoneがステージを後にすると、いよいよ最後の受賞者の発表だ。イベントの掉尾を飾ったのは、「メン・オブ・ザ・イヤー・ベスト・アクター賞」の大泉洋。俳優としてコメディからシリアスな役柄まで自在に演じるほか、テレビ番組の司会者やバラエティ番組の出演者としても圧倒的な存在感を示した。

登壇した大泉は、いつものように飄々とした表情で、受賞の喜びをこう語った。

「メン・オブ・ザ・イヤーはありがたいし光栄ですが、こんなにド派手なパーティがあるとは知らなかったのでびっくりしました(笑)」

そして観客席に向かって、「ちょっとうるさいよ! 私語が多いよ!」と、いかにも彼らしい方法でオーディエンスとの距離を縮めるあたりは、さすがだった。

AwichとJP THE WAVYによるスペシャルライブが観客たちを魅了した。

大きな拍手とともに大泉がステージを降りると、今度はAwichのスペシャルライブだ。スペシャルゲストのJP THE WAVYとともに、素晴らしいパフォーマンスが繰り広げられ、Awichのファンだという川上未映子や那須川天心は興奮を隠しきれない様子だった。

ライブの後は、今回の受賞者によるフリートーク。いくつかの会話のなかから、興味深いやりとりを抜粋したい。

まず川原渓青が那須川天心に「試合前、入場前のルーティンはありますか?」と尋ねると、天心はこう答えた。

「めっちゃ奇声をあげて、声を出しています。あとは、自分が一番強いんだと言い聞かせますね」

中島健人は、川原渓青に「めっちゃクールな義足とファッションの動画をあげてらっしゃいますが、コーディネイトのコツはありますか?」という質問を投げかけた。すると川原は、こう答える。

「僕にとって義足が1番のアイテムなので、短パンを履いたり、長いパンツでも右足だけ裾をまくったり。でもファッションはすべて独学なんですよ」

Sexy Zoneの菊池風磨は、チョコレートプラネットの松尾駿に、こんな質問をした。

「松尾さん、テレビの生放送でご一緒した時に、ずっと僕のことをニラんでいましたよね?」

すると松尾は、こう切り替えした。

「確かにニラんでいました。理由は簡単です。俺よりウケるな、という意味です(笑)」

楽しい会話で、あっという間に時間は過ぎていき、お開きの時間となった。エンディングでは、再び『GQ』グローバル・エディトリアル・ディレクターのウィル・ウェルチが姿を現し、壇上で次のように閉会の挨拶をした。

「ステージの真ん中に立つように言われましたが、隅から挨拶させていただきます。なぜなら、いまステージ上はGQの素晴らしい表紙がライブで再現されているからです(笑)。ぜひまた、この素晴らしいイベントを開催したいと思っています。大きな拍手をお願いします」

こうして、「GQ MEN OF THE YEAR 2022」は幕を閉じた。俳優にしろ作家にしろアスリートにしろ、卓越した技量で活躍するみなさんは、われわれに生きる活力を与えてくれる。来る2023年には、どんなスターが現れるだろうか。

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文・サトータケシ 写真・長田哲英、安井宏充 トロフィーデザイン・N and R Foldings Japan\