【米国市況】株続落、パウエル氏発言前にリスク敬遠-一時132円90銭
Rita Nazareth-
円は対ドル続落-日銀の次期総裁人事に関する報道を引き続き材料視
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アップルやアマゾンなど先週決算発表をした大手ハイテク株売られる
6日の米株式市場では、S&P500種株価指数が続落。米金融当局が引き締め策を続けるとの見方が強まる中、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長が市場にある強気姿勢をけん制するかどうかを見極めたいとのムードが広がった。
日本銀行の次期総裁人事に関する報道が引き続き材料視され、円は対ドルで一段安。一時は1.3%安の1ドル=132円90銭を付けた。
株式 | 終値 | 前営業日比 | 変化率 |
---|---|---|---|
S&P500種株価指数 | 4111.08 | -25.40 | -0.6% |
ダウ工業株30種平均 | 33891.02 | -34.99 | -0.1% |
ナスダック総合指数 | 11887.45 | -119.51 | -1.0% |
主要株価指数は買われ過ぎの水準を離れた。パウエル議長は7日のイベントで、市場が期待する年内の利下げ予想が間違いである可能性が高いことをあらためて強調するとみられる。
ウルフ・リサーチのチーフ投資ストラテジスト、クリス・セニック氏は「パウエル議長は引き続き、発言するたびに大きな不確定要素となっている」と指摘。議長が1日の連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見で示した「非常にハト派色の強いトーンを修正するかどうかを投資家は注視するだろう。特に、米国で『ディスインフレが進行中だ』という発言と金融環境の認識に関してだ。当社としては、米金融当局が政策金利を『より高水準により長期間』維持すると依然考えている」と述べた。
地政学的な懸念もくすぶっている。中国の気球をバイデン政権が米軍に撃墜させ、緊張が高まる中、米上場の中国株の指数はこの日下落。事情に詳しい関係者によれば、米国は今週にもロシア産アルミニウムに200%の関税を課す準備を進めている。
米国、今週にもロシア産アルミニウムに200%の関税賦課-関係者 (1)
先週決算を発表したアップルやアマゾン・ドット・コム、グーグルの親会社アルファベットといった大手テクノロジー企業の株価がそろって下げたことも、投資家心理への重しとなった。
ミラー・タバクのチーフ市場ストラテジスト、マット・メイリー氏は「主要株価指数は1月に力強く上昇して買われ過ぎの領域に達した」と指摘。「短期的な相場下落の後には力強い上昇が新たに見られると言おうとしているわけではない。実際のところ当社は、短期的な下落が恐らく一段の下げを引き起こすとみている」と述べた。
ゴールドマン・サックス・グループのデービッド・コスティン氏らストラテジストはリポートで、年初から上昇したS&P500種は現在、予想より良好な経済成長と債券利回り低下を正しく反映した水準にあると指摘。同時に、割高なバリュエーションとさえない企業業績、高い金利は、ここからの上昇余地がほとんどないことを意味すると分析した。
米国債
米国債相場は続落(利回り上昇)。年限が短めの国債を中心に売られる展開だった。
国債 | 直近値 | 前営業日比(bp) | 変化率 |
---|---|---|---|
米30年債利回り | 3.68% | 6.12 | 1.7% |
米10年債利回り | 3.64% | 11.34 | 3.2% |
米2年債利回り | 4.47% | 18.38 | 4.3% |
米東部時間 | 16時52分 |
欧州債市場で中核国債が売られた流れを受けた。欧州中央銀行(ECB)やイングランド銀行(英中銀)当局者が追加利上げの必要性を強調したことが国債売りにつながった。
外為
外国為替市場ではドルが上昇。3営業日として少なくとも昨年9月以来の大幅高となった。米国債利回り上昇に加え、米中の緊張が高まったことが背景。円は対ドルで一段と下落。日本銀行の黒田東彦総裁の後任として政府が雨宮正佳副総裁に就任を打診したとの一部報道が、引き続き材料となっている。
為替 | 直近値 | 前営業日比 | 変化率 |
---|---|---|---|
ブルームバーグ・ドル指数 | 1241.48 | 7.78 | 0.6% |
ドル/円 | ¥132.64 | ¥1.45 | 1.1% |
ユーロ/ドル | $1.0725 | -$0.70 | -0.6% |
米東部時間 | 16時52分 |
ただ、三菱UFJフィナンシャル・グループのアナリストは日本でインフレが上昇していることを挙げ、今後数カ月で日銀が政策を変更するとみている。「次期総裁に誰が就任するかにかかわらず、日銀はイールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)を放棄することになると当社では予想している。それが向こう1年にわたって、さらなる円高を促すはずだ」とリポートで分析。最近の円売りは「一時的な下げに過ぎない」とし、ドルは対円で下落し1ドル=120円台前半のドル安水準に達すると予想した。
ブルームバーグのドル指数は一時0.8%高と、1月9日以来の高水準。この3営業日で約2.3%上昇した。
カナディアン・インペリアル・バンク・オブ・コマース(CIBC)の外為戦略責任者ビパン・ライ氏は、米本土上空を飛行し撃墜された中国の「気球」問題について、「米中関係改善の後退となる限りにおいて」重大な案件だと述べた。
原油
ニューヨーク原油先物相場は4営業日ぶり反発。一時12月初旬以来の安値に下げて、テクニカル指標で売られ過ぎが示唆された後、持ち直す展開となった。
原油在庫の増加を背景に、市場のセンチメントは悪化しやすい状況だ。一方、テクニカル指標で売られ過ぎを示唆する水準に達したことをきっかけに、売りが手控えられた。
マッコーリーの原油・ガス担当グローバルストラテジスト、ビカス・ドウィベディ氏は「多くの前向きな材料に基づいて最大限に強気となれる」が、在庫の積み上がりも考慮しなければならないと指摘。「今はそのせめぎ合いになっている」と述べた。
ニューヨーク商品取引所(NYMEX)のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物3月限は、72セント(1%)高の1バレル=74.11ドル。ロンドンICEの北海ブレント4月限は1.05ドル(1.3%)高の80.99ドル。
金
ニューヨーク金先物相場は小幅反発。前週末は予想より堅調な米雇用統計を受けて、米金融当局が年内にタカ派色を弱めるとの楽観が後退したことから、金は売りを浴びていた。
BMOキャピタル・マーケッツのアナリスト、コリン・ハミルトン氏は「驚くほど力強い米雇用統計は、労働市場がほとんどの人の想定よりずっとよく持ちこたえているという先の兆候と重なる」と電子メールのリポートで指摘。「金利予想の見直しはドルの堅調とともに、貴金属全般への重しになった」と続けた。
ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物4月限は、2.90ドル(0.2%)高の1オンス=1879.50ドルで終了。スポット価格はニューヨーク時間午後2時48分現在、0.1%高の1867.11ドル。
原題:Stock Euphoria Deflated With Powell as ‘Wild Card’: Markets Wrap(抜粋)
Treasuries Slide, Extend Post-Jobs Drop Amid European Bond Rout(抜粋)
Dollar Set for Best Three-Day Run Since September: Inside G-10(抜粋)
Yen Falls on Kuroda Successor Report, Dollar Gains: Inside G-10(抜粋)
Oil Rebounds From Support Level After Dipping to Two-Month Low(抜粋)
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