金正恩氏、バイデン次期米政権へのあいさつはミサイル試射か
Jon Herskovitz-
オバマ、トランプ両政権の発足後もミサイルの発射や核実験
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10月に披露した新型ICBMを実験する可能性も
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北朝鮮は過去2回、米国で新大統領が就いてから数週間以内にミサイル試射あるいは核実験を実施した。北朝鮮に「狂犬」とののしられたジョー・バイデン氏が就任する際も同じことが起きると専門家はみている。
金正恩朝鮮労働党委員長は、バイデン次期大統領に祝意を表明していない数少ない世界の指導者の1人。中国の習近平国家主席は25日にバイデン氏に祝電を送ったが、金委員長は同氏の勝利を認めてすらいない。米選挙結果について北朝鮮が沈黙を続けることは珍しくないが、金委員長はトランプ大統領とは史上初の米朝首脳会談を行い、長年の敵対関係の打開に動いた。
金委員長が2011年に権力を掌握した後も、米国は北朝鮮が挑発行為をしても非核化に応じるまでは見返りを与えない「戦略的忍耐」の方針を続けた。こうしたオバマ前政権時代の冷ややかな関係に米朝は戻りそうだが、北朝鮮にとっては大きな変わりはないかもしれない。オバマ政権からトランプ政権に変わっても、金委員長は制裁強化にもかかわらず、米本土を核の脅威にさらす兵器開発を着実に進めた。
米中央情報局(CIA)の勤務経験があり、現在はランド研究所の政策アナリストを務めるスー・キム氏は「米政権がどうであれ、北朝鮮の体制が米国に対する態度を変えたり戦略を転換させたりする公算は小さいだろう」と分析。「核兵器は維持され、金委員長は構築と脅迫を続けるだろう。この戦略は数十年間、機能することが証明された。うまくいくことを変える理由はないだろう」と述べた。
北朝鮮はオバマ氏が09年に就任してから数カ月以内に、長距離ミサイルの発射と核実験を行った。トランプ政権が発足した後も一連の弾道ミサイル試射を実施し、17年11月には米全土を核弾頭で攻撃し得ると専門家が分析する大陸間弾道ミサイル(ICBM)を試射した。
今回最も可能性が高いのは、北朝鮮がICBMを再び試射することだ。10月の軍事パレードで披露し、複数の核弾頭で米本土を攻撃し得るとされる新型ロケットが含まれる可能性がある。米国防総省は今月、日米共同開発の迎撃ミサイル「SM3ブロック2A」が北朝鮮のICBMに見立てた標的の迎撃実験に成功したと発表した。
ICBM標的の迎撃実験に成功、日米共同開発ミサイル-米国防総省
オープン・ニュークリア・ネットワークの副ディレクター、メリッサ・ハナム氏は「北朝鮮は敵の目に確かであることを見せつけるため、新しいICBMをテストする必要がある。準備が整った時にそれを実施する公算が大きい」と指摘。「北朝鮮に必要なのは、米国に対する抑止力としてICBMに十分な正確性を持たせることだけだ」と述べた。
金委員長はバイデン次期政権に対しどのような姿勢で臨むかについて、21年の新年の辞で示唆する可能性がある。
北朝鮮は在外公館に対し、米国の政権移行期間中の挑発的な措置は控えるよう指示した。韓国の国家情報院が27日、国会への報告で明らかにした。
北朝鮮が新型コロナウイルス対策として実施した国境封鎖は、同国の貿易に深刻な打撃を与えていると、韓国貿易協会(KITA)は27日の報告書で分析。最大の貿易相手国である中国との今年の貿易は80%減少する見通しという。
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原題:Kim Jong Un Likely to Let His Missiles Do the Talking With Biden(抜粋)