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粘り強く金融緩和、2%物価上昇の達成にはまだ間がある-日銀総裁

日本銀行の植田和男総裁は30日、当面の金融政策運営について、現行の金融緩和を継続していく姿勢を改めて示した。参院財政金融委員会で答弁した。

  植田総裁は、「賃金が継続的に上昇していく中での持続的・安定的な2%の物価上昇の達成にはまだ間があると考えているので、粘り強く金融緩和をというスタンスだ」と述べた。

  その上で、足元のインフレ率は2%を大きく超えているが、「日銀の見通しでは2023年度半ばにかけてかなりはっきり下がっていく見通しを持っている」と説明。それ以降はまた上がっていくとしながらも、今年度前半に比べて「今年度後半、来年度以降の見通しは現時点ではかなり不確実なものだ」と語った。

  4月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は前年同月比3.4%上昇と、前月の3.1%上昇から伸びが拡大した。日銀は4月公表の経済・物価情勢の展望(展望リポート)で、コアCPIについて、23年度は前年度比1.8%上昇、24年度に2.0%上昇、25年度は1.6%上昇との見通しを示している。

  総裁は今年の春闘で昨年を大きく上回る賃金上昇率が実現する見込みとし、デフレ下での行動や慣行の変化に向けた「良い芽が出てきている」と指摘。その上で「経済をしっかりと支え、企業が賃上げできる環境を整えることを通じて、こうした芽を大事に育てていくことが重要」との認識を示した。

他の発言

  • 長期国債の買い入れオペはいろいろなやり方で行っているが、基本的には続けていく方針
  • 経済情勢次第で、必ず赤字になる、大きな赤字になるということではない-出口局面での日銀収益
  • 支払利息が受取利息を上回る逆ザヤの可能性に備え、受取利息の一部を債券取引損失引当金として積み立て
Bank of Japan Governor Kazuo Ueda Group Interview
インタビューに応じる植田和男日銀総裁(5月 25日)
Photographer: Noriko Hayashi/Bloomberg

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