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米国債強気派、利下げ予想に打撃-大規模入札の試練も控える

  • 7-9日に3回の米国債入札、総額960億ドル
  • トレーダーは年内利下げ見込むポジション維持

米連邦準備制度が年内に利下げを余儀なくされると見込む賭けはトラブルに見舞われた。

  3日に発表された米雇用統計では、過去1年で8回の利上げによって労働市場が軟化した兆しは見られなかった。債券利回りは今年の最低水準付近から反転して上昇。供給管理協会(ISM)の非製造業総合景況指数の大幅上昇で一段と高くなった。

  今週は3年債と10年債、30年債を合わせて960億ドル(約12兆6500億円)の入札が予定されている。また、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の7日の講演は、2023年の利下げ観測は恐らく間違いだと市場に念を押す機会となるだろう。

  3日の利回り上昇を受けて、投資家は入札に積極的に参加するかもしれない。しかし政策金利が実際に5%超に向かっているならば、利回りはまだ不十分だ。

  クルーズ&アソシエーツの金利責任者、ダニエル・マルホランド氏は、「入札は市場にとって大きな試練となるだろう。労働市場がこれほど逼迫(ひっぱく)した状態が続けば、金融当局が下期に緩和を開始するのはかなり難しいだろう」と話した。

  10年物米国債利回りは3日に13ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇し、3.52%付近で越週した。年初来では35bp低下している。ブルームバーグの指数によると、年初から2月3日までの米国債リターンはプラス2.3%。

  7日の3年債400億ドル、8日の10年債350億ドル、9日の30年債210億ドルの入札は1週間ベースでは昨年11月以来の規模になる。同月の入札で10年債の金利は4.125%だったが、今回は3.5%程度の公算が大きい。

  インフレ連動債を含む1月の8回の入札ではいずれも堅調な需要があったが、米連邦準備制度の今年の緩和への確信が揺らいだ今回はそうならない可能性があるとマルホランド氏が指摘した。

  ウィズダム・ツリー・インベストメンツの債券戦略責任者、ケビン・フラナガン氏は、「米国債の取引が一方的になっていたことは確かで、買い手は何かがうまくいかない可能性を考えていなかった」と指摘。「米国債の上昇は行き過ぎていたと思われる」と話した。

Volatility Slides | Investors emboldened by options traders pricing in ebbing yield swings
 
 

  ブラックロックやマン・グループなどのファンドマネジャーによれば、高水準で推移している利回りと相まって、債券需要を後押ししているのは金利ボラティリティーの低下だ。オプション価格に基づく米国債市場のボラティリティーの目安である ICE・BofA・MOVE指数は、10年物米国債利回りが昨年10月に2年余りで最高の4.3%に達して以来、40%近く低下している。

  ブラックロックのグローバル最高投資責任者(CIO)、リック・リーダー氏は3日のブルームバーグテレビジョンの番組で、「今でもまだ高利回りを確定できる」 とし、米金融当局は利上げサイクルの終わりに近づいており、その結果としてのボラティリティー低下は債券保有者にとってポジティブだと分析した。

リック・リーダー氏
Source:Bloomberg

  昨年12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)金利予測の中央値では、政策金利が23年末までに5.1%に達すると想定されていた。スワップトレーダーは6月に約5%でピークとなり、年末までにそこから約40bpの利下げがあると見込んでいる。

  ヘッジファンド大手マン・グループのマルチアセット・ソリューション責任者、ぺーター・ファン・ドーイエべールト氏は、「当局が金利の高水準を維持すると言うなら、私はそれを信じる」と述べた。利下げへの確信が薄れれば、利回りは上昇する余地があるが、ボラティリティー低下により債券の保有が「やや容易になっている」と同氏は指摘した。

 

原題:Bond Bulls, Dealt Setback on Fed Wager, Face Supply Quandary(抜粋)

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