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日本株強気派が勢いづくもう一つの理由、早期の解散選挙観測くすぶる

  • 1990年以降、11回の衆院解散・総選挙中の日経平均は11勝0敗
  • 選挙で海外投資家の注目が日本に集まる可能性-野村証の池田氏

海外投資家の買いが原動力となり、日本株相場はバブル崩壊後の高値に達した。過熱警戒感が出やすい水準まで急ピッチで上昇してきたものの、過去30年の経験則に照らすと、強気派が勢いづく買い材料が加わる可能性がある。

Day 3 of The Group of Seven Leaders' Summit
広島サミットへのウクライナ大統領の電撃参加を実現した岸田首相
Photographer: Eugene Hoshiko/AP Photo/Bloomberg

  主要7カ国(G7)首脳会議(広島サミット)での人気上昇が追い風となり、市場では岸田文雄首相が解散総選挙に打って出るとの観測がくすぶっている。早ければ6月の衆院解散、7月投開票のシナリオだ。

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  野村証券によると1990年以降、11回の衆院解散・総選挙の選挙期間中の日経平均株価のリターンは「11勝0敗」で、平均上昇率は約4.1%。池田雄之輔チーフ・エクイティ・ストラテジストは「潜在的な理由の一つは、選挙によって海外投資家の注目が日本に集まる可能性があることだ」と語る。 

日経平均と総選挙期間のパフォーマンス

90年以降は11勝0敗

Source: 野村証券

  日経平均は年初から2割上昇しており、上昇率が1割の米S&P500種株価指数の2倍という好成績だ。解散総選挙観測の高まりは、日本の経済成長見通しや企業統治(ガバナンス)の改善期待といった日本株独自の買い材料になるかもしれない。野村証券では、日経平均が7月に3万3000円(29日終値3万1233円)に達する可能性があると予想する。

  一方、岸田首相の長男に関するスキャンダルや連立与党を組む公明党との候補者調整を巡る対立など、足元では支持率低下に影響するような動きも出ている。

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  ただ、岸田首相が2024年9月に3年の任期を迎える自民党総裁として続投するには総選挙での勝利が不可欠だ。投資家の間では、問題は岸田首相が解散するかどうかではなく、いつ解散があるのかだという見方が根強い。

  岸田首相が長男の秘書官の交代を決めたことについて、東洋証券の大塚竜太ストラテジストは「支持率低下に反応したとみられ、解散総選挙への期待が高まり株式市場は好感しやすい」と分析している。

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