デジタル人民元、北京冬季五輪が普及の起爆剤か-展示会で民間と火花
Bloomberg News-
北京市で開かれたサービス貿易交易会で主要銀がデジタル人民元紹介
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冬季五輪は外国人客にもデジタル元を広める機会に
中国・北京市で今月開かれた展示会「国際サービス貿易交易会」ではブレスレットや腕時計だけでなく、歩行用の杖さえも読み取り機に軽く接触させるだけでデジタル人民元を使った支払いができる様子が紹介された。
これは中国人民銀行(中央銀行)や国内金融機関、大手テクノロジー各社が市民に紹介していた機器のほんの一例にすぎない。デジタル元のチップが埋め込まれているこうしたウエアラブル機器をスキャナーにかざせば、インターネット接続の必要もなく支払いを済ますことができる。来年2月に北京で開催される冬季五輪でデジタル人民元の利用拡大が見込まれている。
テンセント・ホールディングス(騰訊)が運営する「ウィーチャットペイ(微信支付)」やアリババグループ系の「アリペイ(支付宝)」を使った取引に慣れ親しんだ人々にデジタル人民元を売り込もうと人民銀は全力を挙げている。これまでに深圳から海南まで11都市・地域で実証実験を行ってきた。
北京市に住むハオ・シウジエさんは中国銀行が運営するブースに20分間並び、デジタル人民元のアカウントを取得してカプチーノを購入した。
コーヒーを買う際にも並んでいたハオさん(45)は、「デジタル人民元をテレビで頻繁に目にして、アリペイやウィーチャットペイとどう違うのか確かめてみたかった」と話し、「支払いにもチャージするにも使うのは実に簡単」だったと振り返った。
デジタル人民元を使って切手や飲み物、冬季五輪関連商品を購入できる自動販売機の前には長蛇の列ができていた。
今年2月に無料配布された200元(約3400円)相当のデジタル人民元を使ったことがあり、資産運用業界で働くリ・ジュンさん(36)は、中銀デジタル通貨であるデジタル元が正式導入されれば、ウィーチャットペイやアリペイから乗り換えると語る。相対的に安全性が高いと考えているからだという。
アント・グループのブースでは、スタッフがアリペイ経由の財布の開け方やチャージの仕方を来場者に説明していた。電子商取引大手のJDドットコム(京東)も自社ブースで、自販機やセルフサービス決済機を紹介した。
デジタル人民元、アリペイやウィーチャットペイと併存へ-中国人民銀
交易会に参加した銀行担当者らは、デジタル人民元の実生活での使用がまだほとんどなく、デジタル通貨の概念がなお理解できていない人も多いため、売り込みは簡単ではないと話す。だが、中国国民だけでなく外国からの観光客にもデジタル元を広めるためには、北京冬季五輪が鍵となる。
交易会では中国郵政貯蓄銀行の関係者が現金自動預払機(ATM)のような機械を披露し、外国紙幣を取り出してカードに保存されるデジタル人民元に交換することができることを紹介。中国建設銀行もパスポートと国外の携帯電話番号を持っていれば外国人客でもデジタル人民元のアカウントが申し込める類似の機械を設けていた。
原題:
Digital Yuan Goes Head to Head With Alipay, WeChat in Beijing(抜粋)