岸田首相長男の翔太郎秘書官が来月1日付で交代-週刊誌報道受け
林純子、下土井京子-
「政務秘書官として不適切であり、けじめをつけるため交代」と首相
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早期の衆院解散・総選挙が取り沙汰される中、政権への打撃回避狙う
岸田文雄首相は29日、来月1日付で政務秘書官を長男の翔太郎氏から前任の山本高義氏に交代すると発表した。首相官邸で記者団に語った。事実上の更迭とみられる。
岸田首相は理由について「公邸の公的なスペースにおける昨年の行動が公的な立場にある政務秘書官として不適切であり、けじめをつけるため交代させることとした」と説明した。
翔太郎氏は昨年末に首相公邸で親戚と忘年会を開き、写真撮影をしていたことなどが週刊誌で報じられた。岸田首相が厳重注意したが、野党から更迭を求める声が上がるなど批判が高まっていた。
松野博一官房長官は30日午前の記者会見で、「公邸内の執務機能を持つ公的なスペースに秘書官が立ち入ること自体に問題はない」とした上で、岸田首相は翔太郎氏の行為を「報道により認識した」と述べた。また、翔太郎氏から、退職手当などが支給された場合、全て返納したいとの申し出があったと明らかにした。
今回の問題は、岸田首相が主要7カ国首脳会議(G7広島サミット)の議長を務め、ウクライナのゼレンスキー大統領の予期せぬ出席の効果もあり支持率が大きく上昇した中で起こった。早期の衆院解散・総選挙が取り沙汰される中、政権への打撃を回避するために重い腰を上げた格好だ。
ゼレンスキー効果か、岸田内閣の支持率上昇-早期解散観測が拡大も
朝日新聞が今月27ー28日に実施した世論調査では、翔太郎氏の行動が「問題だ」とする回答が76%を占めた。日本経済新聞は26ー28日に行った調査では、一時5割を超えた内閣支持率が47%と5カ月ぶりに下落。自民党内では要因として、翔太郎氏の行動が影響したとの見方が出ているとしていた。