HINT1 まずは快感に直結する、下半身の筋肉をメンテナンス。
女性はオーガズムのときに骨盤底筋が収縮する。そのため骨盤底筋と脚の筋肉を強化し下半身に力を入れやすくして、意図的にその状態をつくり出せば快感を得やすくなる。「30～40代になると身体能力が低下し、セックスのとき上手く動けず、さまざまな体位を楽しめない原因に。また最近増えているのが、しゃがめない人と内転筋が使えない人。これは骨盤底筋を締める力にも関わってきますが、骨盤底筋と下半身のトレーニングで改善が可能です。足指の運動と足首の可動域を広げるとしゃがめるようになり、全身の機能性も向上。また内転筋は、普段立っているときでも、母指球や内踵を意識して踏むことで、腿の内側に力が入って鍛えられます」（鰻澤さん）
HINT2 マスターベーションで自分のボディを探索する旅に出る。
「自分の気持ちのいいポイントを自分でわかっていなければ、人にリクエストするのは難しい。まずはマスターベーションで自分のどこをどう触れると気持ちがいいのかを見つけましょう。自転車に最初から乗れる人がいないのと同じように、オーガズムもマスターベーションで反復練習することによって得やすくなります」（鰻澤さん）。現在ではプレジャーアイテムも種類豊富。「2020年には吸引系のアイテムがトレンドになりましたし、置き場所に悩まないルックスのものや、使い切りでオーラルセックスの快感を得られる商品も。人によって好みは多種多様。自分に合ったトイを見つけて快感を追求することは、自分と向き合うきっかけにも」（犬飼さん）
HINT3 ゴールは定めず、ゆるやかなリラックスが吉。
オーガズムを迎えるには、交感神経をゆるませた状態になることが肝心。「絶頂を意識しすぎると交感神経が優位な状態が続き、逆に抑制が働いてしまうことも。相手のことを気にせず、愛撫だけにゆったり没入する。それくらいリラックスしたほうがイキやすくなります」と鰻澤さん。セックスやセルフプレジャーのゴールはオーガズムだけではない。「オーガズムに達さないといけないという思い込みは手放して。安眠や気分転換など、もっとゆるい目的のためにプレジャータイムを取り入れてみては」（犬飼さん）
HINT4 疲れを癒すマッサージでコミュニケーションを。
パートナーとの関係を良好に保つためにも欠かせないスキンシップ。TENGAのアンケート調査では、セックスレスでもスキンシップがあるカップルの91％が関係は良好だと回答している。中でもおすすめなのは、身体の血行を良くするマッサージ。「たとえば産後は挿入ができないのでレスにつながりやすい期間ですが、そんなときでもパートナーをいたわってマッサージすることで、セックス以外のスキンシップが可能に。また身体を温めると血流が上がり、快感度が増したという声も。今年ローンチしたCARESSAは、マッサージに最適な、ジェンダーレスのスキンシップアイテム。セックスの導入としても、リラックス目的としても使える新カテゴリー」（犬飼さん）
HINT5 セックスレス化を防ぐには適度な距離感を。
セックスレスを防ぎたいなら、すべてを見せすぎないこと。「比較的男性に多い『目標志向型』の性欲パターンは、手を繋いだらキスして、次はハグをして、と階段を上るようにオーガズムを目指して進むもの。それが一緒に暮らして服を脱ぐ、キスをするなどの本来オーガズムへのステップになるはずの場面が日常に置き換わってしまうと、これはセックスに繋がる行為ではないと脳にインプットされる。結果、性的スイッチが押されなくなってしまうんです」（鰻澤さん）。目の前で着替える、裸になるなど、相手の性的スイッチが入ることを不用意にしすぎないよう意識を。「新しい趣味を始めるなど、小さな秘密を持つことで、ほどよい緊張感に」（鰻澤さん）
HINT 6 本能的に求めてしまう香りを味方につける。
本能に訴えかける、香りの有効活用を。「催淫効果があるといわれるのはジャスミンやイランイラン、ムスク。マッコウクジラの腸内の結石が原料の竜涎香は、希少価値が高く、名品として愛される香水にも使われています。また、10代後半にピークになる、香りの原因成分ラクトンは、加齢により女性から失われる成分なので、香りで取り入れるのも◎」（鰻澤さん）。自分のための香りか、相手のための香りなのかで選び方も変わる。「自分がセクシーだと感じる香水を探すことでセクシーの定義がより明確になり、身につけるだけでも催淫効果が期待できそう。もしくはパートナーが好きな香りを探すデートをして、セックスのときに纏うなども素敵ですね」（鰻澤さん）
話を聞いたのは……
犬飼幸
セックスグッズを扱うTENGAにて、女性用プレジャートイ、irohaのPR・広報を担当。PR会社勤務経験を活かし、新商品のプロモーションやイベント運営などを行う。セクシャル・ウェルネスの重要性を世に広めている。
鰻澤智美
鍼灸師。古来中国で不老長寿や子孫繁栄のために用いられていた房中術を研究する、房中養生案内人。鍼灸やヨガなど東洋医学的なアプローチから性の悩みを解決。セックスレスカップル向けの施術にも定評がある。
問い合わせ先／テンガ 0120-072-138
モルトンブラウンジャパン moltonbrownjapan@kao.co.jp
ルクステカ 03-6864-3934
ル ラボ お客様相談室 0570-003-770
Illustrations: Tomoko B. Iwawaki Text: Moyuru Sakai Editor: Yu Soga
※『VOGUE JAPAN』2022年8月号「プレジャーの増やし方」転載記事。
