英保守党、支持率低下に資金繰り難追い打ち-銀行残高一時マイナスに
Alex Wickham-
保守党、ザハウィ幹事長解任で資金調達と選挙運動の責任者が不在に
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総選挙に向け労働党が世論調査で大幅リード-保守党に資金集まらず
スナク英首相が直面する与党・保守党の資金繰りは先行き厳しい。2年足らずの間に次期総選挙が迫っている状況で、2500万ポンド(約40億円)が不足している。
事情に詳しい関係者によると、昨年10月に党幹事長に就任したナディム・ザハウィ氏は、党の運営予算が約500万ポンドの赤字になっていると報告を受けた。一時は資金繰りに極めて困窮し、党職員の賃金支払いで党の銀行口座残高がマイナスになったこともあったという。
だが、納税に「不注意」があったとしてザハウィ氏が解任され、保守党は1月29日以降、幹事長不在の状態が続いている。次期幹事長に誰がなるにせよ、選挙資金の調達と選挙運動の責任者という気の重い仕事を受け継ぐことになる。
英国では遅くとも2025年1月までに次期総選挙が実施されるが、最近の大半の世論調査で保守党は最大野党・労働党に20ポイント以上リードされている。それだけに、ザハウィ氏の後任が担う責任は重大だ。有能で安定しているとの保守党の評判は、2人の首相が辞任しポンドと債券市場が大混乱した昨年地に落ちた。
予算が細る中で、党の担当者と献金者との対話は難しいものになりそうだ。内部の事情だとして匿名を条件に語った関係者によると、選挙活動用のスタッフを採用するため同党は2500万ポンドの追加資金を必要としている。組織担当や調査、ソーシャルメディア担当で質の高いスタッフの採用が欠かせないと関係者は語った。
だが、この1年の政治混乱にうんざりした大口献金者は、新たな献金に消極的だ。選挙委員会の直近のデータによると、昨年7-9月(第3四半期)の保守党への献金額は前期比で45%減少した。
一方で英国の超富裕層は、政権奪取の可能性をますます強める労働党にすり寄りつつある。
財政状況が厳しい保守党では運営維持のため、スナク首相が保守党の上級会計担当者に指名した億万長者のモハメド・マンスール氏が数百万ポンドの寄付に同意したと関係者が明らかにした。
保守党の広報担当者は22年に献金額が減少したことを認めつつ、今年に入り改善の兆しが見られると主張した。マンスール氏は同党を通じて行ったコメントの要請に応じていない。
ブルームバーグに語った献金者らは、献金停止についてさまざまな理由を挙げた。一部は世論調査の動向を指摘し、労働党勝利の様相が圧倒的に強まっているところで保守党に献金することは、的外れに思われると説明。欧州連合(EU)離脱や離脱プロセスへの不満、ジョンソン元首相追い落としや党の混乱への怒りを表明した献金者もいた。
原題:UK Tories Seek £25 Million As Donor Exodus Leaves Black Hole(抜粋)