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MIKSHIMAI── BTSなどK-POPスターが信頼を寄せる、唯一無二のジュエリーブランド【次世代ブランドを探せ!】

ベア形のグミやキャンディーなど、アイキャッチーなモチーフジュエリーを得意とする韓国発のジュエリーブランド、ミクシマイ(MIKSHIMAI)。韓国人姉妹が二人三脚で運営するブランドは、BTSやBLACKPINKなど、数多くのK-POPスターのカスタムジュエリーも手がける。彼女たちがクリエイションに込める想いと、カスタムジュエリーの制作秘話を特別に明かしてくれた。

韓国発のアクセサリーブランド、ミクシマイMIKSHIMAI)は、クマの形のグミやハートのキャンディーなど、思わず笑顔になるお菓子モチーフがアイコンの一つ。かつて日本に留学した経験を持つキム・セアム&キム・ダソル姉妹は、「ブランド設立当時、ジュエリー製作の専門知識がなかったため、直接工場に通って多くのことを学んだ」と振り返る。

ポップで色鮮やかなデザインで人気を博す一方、K-POPスターがステージで纏うカスタムジュエリーも精力的に手がける。BTS防弾少年団)のJIMINのために製作した王冠は、事務所と1ヶ月以上のやり取りを重ね、10個のサンプルを作り完成したそうだ。姉妹にとって、K-POPスターはデザインをする上で原動力のような存在。「いつも新たな挑戦にパワーを与えてくれるから、美しいと思える創作だけに集中できる」と語る。

専門知識ゼロからスタートし、今やK-POPアーティストご用達ブランドとして世界中から愛されるブランドにまで成長。生産を担当する姉とデザインを手がける妹に、これまでの道のりとK-POPアイドルの影響力、そして今後のヴィジョンについて伺った。

── ブランドを始めたきっかけを教えてください。

私たち姉妹は昔、一緒に日本で働き、暮らした経験があります。毎日仕事帰りに2人で「BOOKOFF」に寄るのが楽しみで、そこで偶然、ある本を手にしてジュエリーを作って販売してみたい!と思い立ったんです。当時を振り返ると、勢いと好奇心でスタートしたように見えますが、既にブランド設立から10年が経ちました。

私たちはジュエリーの専門学校などに通った経験はなく、直接工場へ出向いてジュエリーの製造工程を学びました。現場で身につけたジュエリー作りのスキルと自由な発想力を合わせ、ミクシマイの独特な世界観を少しづつ広げていったんです。

日本語の“姉妹”がブランド名に

大粒のビジューをあしらい、クールな黒で引き 締めた人気の「ファンシーベア」。ペンダント ¥33,000 /MIKSHIMAI(ショールームシャルメール 03-6384-5182)

── 愛らしいモチーフをモードに提案する、大人かわいい世界観が特徴的です。インスピレーションを教えてください。

「MIKSHIMAI」のブランド名は、苗字のKIM(金)と日本語のSHIMAI(姉妹)を組み合わせたもの。私たちの好奇心とチャレンジ精神という意味を込めて、名付けました。

私たちは多くの物事に興味あり、とにかく好奇心旺盛なんです。そのため、ジュエリーやファッションの分野に限定せず、インスピレーションの多くは自然や生地市場、家具工場、染色工場など、訪れる全ての場所や経験から得ています。そして、素材から着想を得ることも多いですね。レジンや原石、糸など、さまざまなものを扱うことで、その質感やシルエットがアイデアに繋がることもしばしばあります。

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── ハート型のキャンディーモチーフも、リアルな質感が印象的です。

「S2 TEXT CANDY」のシリーズは、これまでに製作したジュエリーの中でもお気に入りで、代表作の一つです。BTS(防弾少年団)のメンバー全員が着用しました。これは、本物のハートキャンディーのクリスピーな質感を表現するために、何度も素材の研究を繰り返して辿り着きました。

実はこのアイテム、8年前に製作したデザインなんです。当時、まだブランドをスタートしたばかりで、満足のいくものを開発しても、生産コストに余裕がありませんでした。引き出しの奥深くに眠っていたアイデアを、8年越しに発表したもの。今やブランドの代表作となり、模造品も多く流通されるようになりました。少し苦い思いもありますが、色々な困難を乗り越えて発表できたので特別な作品ですね。

K-POPスターの存在がデザインの原動力

──多くのK-POPスターのカスタムジュエリーを製作されていますが、彼らはブランドにとってどんな存在でしょうか?また、彼らが着用するジュエリーを手がける際にこだわっていることは?

K-POPスターは、デザインをする上で原動力のような存在。カスタムピースを製作する際には、インターネットからデザインを引用せずに、クライアントとのコミュニケーションと想像力だけを頼りにしています。万が一、類似品を作ってしまった場合はブランドだけでなく、アーティストに対しても大きなダメージを与えてしまうからです。

また、カスタムピースには莫大な制作コストがかかりますが、良質な素材にこだわっています。クライアント、そして私たちが満足する作品ができるまで連日徹夜で作業をしたり、数十個から数百個のサンプルを作ったりもします。そういった長いプロセスを繰り返して、ようやく完成するため、納得のいくものが出来たときの達成感は言い表せません。

── これまで手がけた作品の中で、印象深いカスタムピースとその製作秘話をお聞かせください。

2022年10月に発表されたBTSのJIMINの写真集「Me, Myself, and JIMIN ‘ID : Chaos’」に登場した王冠です。デザイン修正とサイズ修正が多く、担当者と一ヶ月間以上のやり取りを重ねて、10個のサンプルを作りました。徹夜作業で王冠を溶しているときに一瞬、間違えてしまって、その火柱で眉を燃やしてしまいそうになったり(笑)。そんな記憶をも思い起こさせるアイテムです。

また、2022年9月に発表されたBTSのJUNG KOOKの写真集「Me, Myself, and JUNG KOOK ‘Time Difference’」も印象深いです。表紙で着用している吸血鬼をイメージしたネックレスを作りました。このアイテムのコンセプトは、実際にJUNG KOOKが手がけました。それを元に、最初のサンプルを見たスタイリストチームが修正を加えて、中央のルビーをもっと濃い色のストーンに変えました。

── 今後、挑戦したいことは?

ジュエリーに限らず、ミクシマイの世界観を落とし込んだ照明や家具など、インテリアを手がけてみたいです。そして、いずれは自分たちの作品をギャラリーに展示することも思い描いています。ジュエリーで服を作ってファッションショーもやってみたい。やりたいことがたくさんあるので、想像するだけでもワクワクします!

現在のミクシマイは、K-POPとの繋がりが強いです。K-POPは常に新しい表現に挑戦して、新しいジャンルを開拓しています。そんな風に、何か新しいことを始めるときに心がときめきます。私たちもファッションの枠を超え、科学的な要素を合わせた「K-science」的なジュエリーを計画しています。希少性を重要視する私たちのブランドに、とてもぴったりのアイテムになると思います!

Photos: Courtesy of MIKSHIMAI Interview & Text: Sakurako Suzuki  Editor: Mayumi Numao