京都銀行、純利益300億円目標 多角化図る3カ年中計
京都銀行は27日、2023年4月から3年間の中期経営計画を発表した。23年3月期の連結純利益は250億円になる見通しだが、最終年度の26年3月期には300億円を目指す。23年10月に持ち株会社制へ移行することを検討しており、融資先企業へのコンサルティングを強化するなどして事業の多角化を図る。
土井伸宏頭取は27日の記者会見で中計を通じて「総合ソリューション企業を目指す」と語った。4月に日銀総裁が黒田東彦氏から植田和男氏に10年ぶりに交代することを控えて金融政策の行方に注目が集まっているが、地域金融機関にとっては預金と融資、為替を中心とする従来の事業構造では業績を向上させにくい状況が続く。京都銀はコンサル事業の強化と有価証券への積極的な投資などで収益を拡大し、将来的には純利益水準を500億円に高めたい考えだ。
コンサル業務を担当する人材を現在の2倍の1000人体制に増やす。これまでも融資先企業の事業承継やM&A(合併・買収)などを支援してきたが、経営課題を解決するための戦略立案などに事業領域を広げる。また、IT(情報技術)投資やデジタル化投資に3年間で100億円を投じ、人工知能(AI)を生かしてデータ分析できる人材を育成する。
積極的に資産も積み増す。融資と有価証券への投資を合わせて、3年間で資産を1兆2000億円以上増やす考えだ。資産の増加額は前の3年間の2倍の水準となる。今期末見通しで12.9%の自己資本比率は11%台に下がるが、土井頭取は「少しリスクをとった投資を進める余裕がある」と語った。
これまで「50%を目安とする」としてきた総還元性向については「50%以上」を新たな目標にした。22年の株主総会では英投資ファンドのシルチェスター・インターナショナル・インベスターズが特別配当などを求める株主提案をしたが、総会で否決した経緯がある。今期の総還元性向は60%超になる見通しで、「地銀として最高水準になる」(土井頭取)という。
全行員約3300人を対象とする平均2.5%のベースアップ(ベア)も発表した。7月からの給与が対象で、定期昇給と合わせると約3.5%の賃上げになる。ベアは8年ぶり。