マツダの“色”へのこだわり──新型ロードスター詳報

一部改良を受けたマツダ「ロードスター」の新色を見た今尾直樹の印象とは?
マツダの“色”に対するこだわりはスゴい!──新型ロードスター詳報

カラーリングに注目!

マツダのアイコンであるロードスターに販売期間限定の特別仕様車「Brown Top(ブラウントップ)」が追加された。合わせて、ボディ色に「ジルコンサンドメタリック」という新色が登場している。どちらも受注は11月17日からの開始で、発売は12月中旬になる。クリスマス・プレゼント……自分への、も含めてピッタリかもしれない。

「ブラウン トップ」は「Sレザー パッケージ」をベースに、ブラウンのソフトトップと、「テラコッタ」色のナッパレザーのシートをコーディネートした、おしゃれな仕様である。

今回の改良では、4代目ロードスターのコンセプトである「人生を楽しもうー“Joy of the Moment, Joy of Life” (ジョイオブザモメント、ジョイオブライフ)」をさらに深めることを目指し、特別仕様車「Brown Top」と ボディカラー「ジルコンサンドメタリック」(写真)を新たに追加した。

ちなみにテラコッタとは素焼きの陶器のことで、茶色を指す。ブラウンのソフトトップは、2018年7月に発売されたロードスターの「Caramel Top(キャラメル トップ)」と同色だけれど、内装は「スポーツタン」という明るい、というか薄い茶色だった。つまり、「ブラウン・トップ」は茶とテラコッタの組み合わせが新しい。

撮影車両のボディ色は、「プラチナクォーツメタリック」という薄いグレーで、ブラウンのトップ、テラコッタの内装とのコーディネートはシックでオトナっぽい。

「S Leather Package」ベースの特別仕様車「Brown Top」。

ソフトトップ カラーはブラウンとなる。

一般論として(蛇足ながら)、ソフトトップのオープン カーにとってボディ色と幌の色の組み合わせは、つくり手にとってもオーナーにとっても見せどころである。見る側にとっては見どころだ。ロードスターというのは元来、屋根を開けた状態がデファクトとされている形態である。21世紀のこんにちでもそのスピリットは生きている、とするなら、ロードスターにとっては内装もまた見どころであり、見せどころということになる。

と、書くと、なんだかややこしいけれど、むずかしいことをいっているわけではないです。

専用カラーのナッパレザーシート。

特別仕様車「Brown Top」の16 インチアルミホイール(高輝度塗装)。

スポーツカー・ビジネスとしてまったく正しいことに、マツダはロードスターの初代以来、特別なボディ色と幌、内装の特別仕様車をしばしば登場させている。スポーツカーとはスポーツ、すなわち気晴らしのためのクルマであり、ライフスタイル商品だからだ。

新色のジルコンサンドメタリックについても紹介しておきましょう。ロードスターのソフトトップ モデルとリトラクタブル ハードトップの両方に加わったこれは、一般的な用語だと、オリーブ グリーン、もしくはモス グリーンのメタリックに近い色で、光の当たり具合によってはソリッド、もしくはマットにも見える。

後輪駆動のライトウェイトオープンスポーツのために開発された、SKYACTIV-G 1.5を搭載。

SKYACTIV-MTも選べる。エンジンの初期トルク応答を向上させるとともに、駆動力伝達部品のひねりとその戻りで発生する加速度の揺らぎを予測制御によって抑えることで、すっきりとした加速感を実現。

見えるけれど、じつはメタリックのパウダーが入っているので、単なるソリッドだとベタっとしてしまうような状況でも、影が落ちない。ボディのカタチが立体的に感じられるわけだ。

マツダのデザイン部が塗料会社と開発したこの新色の担当デザイナーの方によると、ジルコンサンドというのは、鋳物の砂型の素材となる天然の砂のことだそうで、この砂には天然の状態でキラキラしたつぶがいっぱい入っている。ジルコンサンドメタリックという名称は、色のことではなくて、ペイントの質感、ジルコンサンドみたいにキラキラ光る様子をイメージして名づけられたのである。

ドアトリム/インパネデコレーションパネルも専用品となる。

メーターはアナログ。

ステアリング ホイールは本革巻き。

まことにマニアックな話ですけれど、もともとSUV用にタフでスポーティなイメージをつくろう、という経緯で誕生したこのペイント、じつは昨年、「CX-5」と米国専用モデルの「CX-50」に採用されている。これをスポーツカーのロードスターに塗ってみたら、「ヴィンテージライク」で、「カフェ レーサー」とか「ガレージ・ライフ」を思わせる雰囲気に仕上がった、ということでカタログに採用された。

130L(VDA方式)の容量を持つトランクは、55cm×40cm×22cmサイズのソフトタイプのキャリーバッグを2つ積み込める深さと奥行きを確保。

ジルコンサンドメタリックに、「ダークガンメタリック塗装」のアルミホイールとブラックの幌を組み合わせた撮影車両は、ことのほかシンプル&コンパクトで、モダンなイタリアン・デザインの4代目ロードスターを、筆者の目にはちょっとクラシカルな、ウィリス・ジープのように見せており、新鮮な心持ちがした。

スポーツカーにとって、色というのはとても重要なのだった。といいつつ、個人的には990Sがほしい、と思っている今日この頃です。白でもいいけど。

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文・今尾直樹 写真・安井宏充(Weekend.)