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不動産王座固める三井不、三菱地所との時価総額差拡大-商業施設好調

  • 2社の時価総額の差は92年以降で最大、不動産アセットの違いが背景
  • オフィス底打ちで三菱地所が王座奪還のシナリオも-しんきんAM

株式市場で時価総額を見ると、三井不動産が不動産デベロッパーの王座の地位を固めている。コロナ禍から経済再開(リオープニング)に向かう需要回復の流れに乗って、強みの商業施設やホテル・リゾート部門などに恩恵期待が高まっているからだ。

Tour Of Mitsui Fudosan Co.'s Kashiwanoha Gate Square
三井不の商業施設とホテル
Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

  SBI証券の小澤公樹アナリストは三井不について、帝国ホテルの筆頭株主でもあり、株式市場からの評価を受けやすいと述べた。商業施設の「ららぽーと」やアウトレットモールの「三井アウトレットパーク」などを運営し、グループには娯楽施設の東京ドームもある。

  三井不の商業施設で4-6月期の売り上げは前年同期を超える勢いがある。広報担当者によると、コロナ前の2019年度比でも売り上げを超えている施設が多い。宴会の増加で売り上げが伸びた飲食店に加え、高級品がけん引したという。

三井不動産と三菱地所の時価総額推移 | スプレッドは過去最大水準
 
 

  日本株が33年ぶりの高値を更新する背景の一つとなったリオープニングの追い風が三井不には吹いている。競合する三菱地所との時価総額の差は拡大基調だ。岸田文雄首相が新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けをインフルエンザと同じ「5類」へ引き下げる調整を進めると発表した1月から開きは大きくなった。

  三井不の時価総額は11日に2兆6308億円と、三菱地所の2兆2692億円を上回っている。ブルームバーグのデータで確認できる1992年以降で時価総額の差は最大水準を保つ。

三菱地所の逆転劇は

  丸の内などに優良物件を抱える三菱地所の王座奪還はオフィス市況の改善が鍵となる。しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹運用部長は、三井不がオフィスを構える日本橋エリアは供給増が見込まれるが、丸の内エリアのオフィス供給は乏しいことが需給好転をきっかけに王座奪還のシナリオもあり得ると述べた。

  もっとも、オフィス賃貸仲介業の三鬼商事が6日に発表した6月の都心部オフィス空室率は6.48%と2022年9月以来の高水準だ。三菱地所の業績が大きく改善するような回復はまだ見えず、賃料の引き上げができるほどの環境にはない。三菱地所の広報担当者は業績や株価推移についてコメントを控えた。

都心オフィス需要に二極化の可能性、大量供給で-産業集積が鍵との声

  三井不株にも先行き不透明感は残る。丸三証券アナリストの荻野晃氏は、沖縄で新型コロナの感染が拡大していることから、都心部でも再び感染が広がり、商業施設の来場者数や売上高が減少することは一つのリスクになると指摘した。

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