BEAUTY / WELLNESS

バッグやヒールがエクササイズ道具に! 毎日の「歩く」で美ボディを手に入れる【ヴォーグなお悩み外来】

呼吸、座る、歩くといった日常の動作を変えることでボディメイクできると話す、身体調律家・所作研究家の木村祐介さん。良い姿勢を保つための“基礎筋力”は日常生活で培うことができるという。今回は、「歩く」を通して美ボディをメイク。さらにアドバンス編として、自宅でできる2つのエクササイズも教えてもらった。
バッグやヒールがエクササイズ道具に! 毎日の「歩く」で美ボディを手に入れる【ヴォーグなお悩み外来】
Photo: Edward Berthelot/Getty Images

美しいボディを左右する、所作。綺麗な姿勢は、息を吸うことから始まる

視覚から入る情報は、人の第一印象のほとんどを決めてしまうほど重要だと言われている。視覚情報、つまり見た目というと顔や体の造形を思い浮かべるかもしれない。だが、所作や仕草といった動きも、もちろん視覚情報に含まれる。所作や姿勢が綺麗な人は遠目からでも見映えがするし、対面する相手に与える印象も良くなることは言うまでもない。

「理想のボディを目指すなら筋トレする前に、まず姿勢や所作を見直すのが先決。今ある筋肉をどう使うかが大事なんです」と話すのは、身体調律家・所作研究家の木村祐介さん。「エクササイズ不要! 理想のボディは “姿勢” で手に入れる」の記事で木村さんが解説してくれた通り、普段の姿勢や身のこなしは、造形つまりボディラインにまで影響を及ぼしているのだ。

さらに「所作が綺麗な人は必ず動く前に息を吸い、動きのひとつ一つに少し間を取っています」と、木村さんは続ける。意識次第で1日約2万回の呼吸が筋トレになるというのは、「呼吸と座り姿勢を変えれば、フェイスリフト&目ヂカラUPに!?」の記事で詳しく触れた通り。呼吸も所作同様、美しさを左右する大きなファクターとなってくる。

ヒール&バッグもエクササイズ道具に

立つ、座る、歩くといった動きにともなう所作。木村さんが日本女性の身のこなしで特に気になることの一つが、歩き方だという。

「ヒールでもスニーカーでも膝下を投げ出すようにして歩く女性が多いと思います。ヒールの高い靴ならカタカタと音が鳴るのが特徴的。これは後ろに重心があるせいで上体が前方へ体重移動しにくく、膝下だけで歩いているのが理由。踵が床を擦っているんですね。前につま先重心で立つ方法をお伝えしましたが、立つときと同じようにつま先側の重心を意識して歩けば、美しく履きこなせますよ。出した脚の足首の上に膝、鼠蹊部、肺、口の中(上顎)を積み重ねて骨で立つようなイメージで歩いてみてください」

高いヒールの靴は足に悪いという考えもあるが、木村さんは「それは歩き方の問題」と主張。「足裏のアーチを引き上げ、つま先側に重心を置いて骨で立てるようになれば、何センチのヒールを履いても、ピンヒールでも基本的に美しく歩けるようになります。正しく歩ければふくらはぎがすっきりしてお尻に力が入りやすくなるし、むしろヒールは良いエクササイズですよ!」

つま先重心で歩く感覚がつかめないという人は、「ゴルフボールエクササイズ」にトライ。方法は簡単で、ゴルフボールを土踏まず辺りで踏んだまま前屈をするというもの。片足ずつ土踏まずの外側、中央、内側の3カ所に置いて5回くらいずつ前屈を繰り返す。そうすると足裏全体を意識してしっかりと立てるようになり、つま先重心にしやすくなったのを実感するはず。

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「このエクササイズで錆びついた足のアーチをゴルフボールで呼び起こすと、つま先重心にしやすくなりますよ。結果、姿勢を作る核となるインナーマッスルのスイッチが入ります」。また、呼吸が深くなる、食いしばりが改善されるなどの波及効果が期待できるそう。「アーチを意識できるようになると、足の小指側の側面で地面をきちんと蹴れるようになります。足の小指側の側面にスイッチが入るとお尻に力が入るようになるので、ヒップを使って歩けるようになるんです」と木村さん。美しいボディラインが手に入るきっかけにもなるという。

移動中に持ち歩くバッグにも、上手な扱い方があるそう。バッグを体から引き離すようなイメージで持つのがグッド、と木村さん。「両肘を出来るだけ首から遠い距離に保つことを意識します。こうすることで所作が美しく見えるうえに肩が凝らなくなる。しかも、バッグが軽く感じるはずです」

アドバンス編。“基礎筋力”がついてきたらトライして

美しい所作によい姿勢は不可欠。そしてよい姿勢がひいては理想のボディラインへとつながる。木村さんは、日常生活のなかで良い姿勢を保つための“基礎筋力”を身につけるための基本のキとして「つま先重心」と「丁寧な呼吸」を提唱。これらをマスターしたうえでもっとボディに磨きをかけたいと欲が出た人は、木村さんが教えてくれた家でできるとっておきの2つのエクササイズにトライしてみよう。

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一つ目は、“東京タワーコア”。つま先重心でより綺麗に立つために、体幹を安定させてくれる簡単なエクササイズだ。足を肩幅よりもやや大きく開いて、トコトコと足踏みしながら拳1個分ほど足幅を閉じていく、というもの。もちろん、こちらのエクササイズも、きちんとつま先重心で行うのがマスト。そうすると、思いのほか、お腹の筋肉を使うことに気がつくはずだ。こちらは1日に1回5セットほどすることで、体幹が鍛えられ姿勢が良くなるという。

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二つ目が、“ムエタイヒップ”エクササイズ。壁に手をついて立ったまま片脚ずつ腿上げをする運動だ。毎日10回ずつすることで、確実にお腹とお尻のシェイプアップになるという。大切なのはつま先重心で行い、右脚を上げるときには軸足の左のお尻を締めて、壁に近づけるように前に押し出し、骨で立つこと。お尻を前に出さないと効果が出ないのでご注意を。

これらのエクササイズを続ければ、お尻の位置が上がって脚が長くなり、なかなか落ちないぽっこり下腹ともおさらばできるはずだ。“スイッチはつま先”を合言葉に、日々の姿勢、そしてエクササイズに励んでみて。

話を聞いたのは……
木村祐介
身体調律家、所作研究家。“ファンクショナル・ビューティー(機能的な美しさ)”を永遠のテーマとし、2023年にサロン「TONAFU-調-」を代官山、京都、金沢の3拠点で立ち上げ。表現や美の最前線にいる役者やダンサーたちとのセッションを通じて、運動力学や機能解剖学を基としたメソッドを独自に考案。
@kimura__yusuke

Illustration: Yurie Terasawa Text: Kyoko Takahashi Editor: Rieko Kosai