銀行の女性役員 モデルなき時代の先駆者
メガバンカーズ(2)
2月26日夜。東京駅近くのイタリアンレストランに7人の女性が集まった。会合の呼びかけ人となったのは三井住友銀行で常務執行役員の工藤禎子(55)。7人は三菱UFJフィナンシャル・グループと三井住友フィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループの3つの銀行グループで役員の女性たちだ。
リテールのライバル
「女性同士だと気軽に話せるよね」。こんな工藤の言葉に参加者がうなずく。だが、このうち3人は各行で個人向け営業をするリテール部門に携わっている。この場を離れればライバルだ。
住宅ローンや投資信託、外貨建て保険。銀行は窓口で扱う金融商品が増え続けている。デフレになって20年が過ぎ、低金利の日本では利回りの良さだけを強調して金融商品を売ることはできない。しかも、接客する相手は高齢者が増えた。男性と比べると話し方が優しく、気配りにもたけた女性はリテールに向いている。こんな印象を持つバンカーは多い。圧倒的な「男性社会」が崩れ始めたのは...
日本が世界に誇る「メガバンク」があえいでいる。世界に冠たる大企業のはずなのに、最近は就活生の人気すら陰ってきた。そんな大銀行に、今だからチャンスと思い入行した人がいれば、男性たちの中でがんばる女性もいる。そして幹部たちは今、何を見ているのか。「メガバンカーズ」は、それぞれの道を歩み始めた。
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