バッグにも経年優化を
筆者はヴィンテージデニム・ヲタクである。とくに、ヒゲやハチノスなどの色落ちに恋している。おっと、筆者の恋はどうでもよかった。失礼。だが、とにかく、せっかくのヴィンテージデニムが、変な色落ちするのを避けたいのだ。で、その変な色落ちの筆頭が、スマートフォンのアタリである。あやつをポケットに入れておくと、四角い白いアタリがいつの間にか浮き出てしまう。いまや世界語となった“HIGE”な色落ちはウェルカムだが、“SMART PHONE”な色落ちは勘弁だ。そんな時、スマホをポケットに入れなくても済むミニバッグが便利。しかしどうせなら、ヴィンテージデニムに合う、ともに成長していけるような、そう、ともに経年優化(劣化ではなく優化)が楽しめるミニバッグが欲しい。
そうだ、ゴローズへ行こう
思い出した。ゴローズに、あの緊張感のある店内の壁に、巾着のシリーズがあったことを! あの巾着シリーズのどれかならばきっと、iPhoneや鍵などをポケット感覚で収納できる。あれは、巾着ポーチだったか、巾着バッグだったか。
求めていたのは鹿革の「巾着ポーチ」
ゴローズ店内に飾られた巾着シリーズには、大きく分けて3種類が存在する。左が「巾着」、右上が「巾着ポーチ」、右下が「巾着バッグ」だ。この巾着シリーズは、すべて鹿革。鹿革の魅力を改めて調べてみると、軽く、柔らかく、通気性に優れ、型崩れしにくく、メンテナンスも楽! と、いいとこ取りだった。ただ、鹿革は牛革に比べ、革面の取り都合が難しく、また、色移りがしやすいというデリケートなポイントもある。ほかのブランドがなかなか鹿革に手を出さないのは、そのあたりが理由だろう。この万能にしてわがままな鹿革を積極的に扱っているゴローズ。やっぱ、すげぇな。
そして、ゴローズで巾着シリーズについて教わるうちに、筆者が欲しいサイズは、大ぶりな「巾着バッグ」ではなく、小ぶりな「巾着ポーチ」だと気づいた。その「巾着ポーチ」には、(大)と(小)の2サイズが存在し、各5色ずつが用意されていた。
特別にお借りして撮影。こちらが「巾着ポーチ(大)」の全5色だ。左から、白、スモーク、赤茶、こげ茶、黒。各4万2000円から(コンチョは選べる)。なかでも白と黒が人気だそう。あの緊張感と高揚感が交錯する店内で迷わないように、欲しい人は事前に画像でイメージを膨らませてから行きましょう。
続いて「巾着ポーチ(小)」の全5色。各3万2000円から(コンチョは選べる)。作りの構成は(大)と同じだ。差し出がましいが、筆者の各色の印象を述べておく。
・白は、ピュアな雰囲気&涼感があり、とくに夏に向いていそう。唯一の表革使い。
・スモークは、ベージュ色で爽やか。表革と裏革の色のコントラストがもっとも強く、その表情の違いを楽しめる。ただ、燻製して色出しをしているため、しばらくはスモーキーな香りがする。
・赤茶は、色落ちしたジーンズに好相性の予感。この手の色の靴が好きならばぜひ!
・こげ茶は、暗めだけど重すぎない、もっとも落ち着きのある色。白や青、黒など、メンズが好む服の色に、意外や意外、バッチリ合いそう。
・黒は、万能色。シンプル系はもちろん、アヴァンギャルドなモードな服にも似合いそう。
「巾着ポーチ」の(大)と(小)
ゴローズの革アイテムは、ゴローさんが試行錯誤を繰り返し、完成した逸品揃いのラインアップだ。どれも機能美とアイディアにあふれた作りになっている。だから、「巾着ポーチ」ひとつとっても、どちらのサイズにするか、またどの色にするか、おおいに悩む。
というわけで、「巾着ポーチ」の(大)と(小)のサイズ感を比べてみた。左が「巾着ポーチ(大)」で、サイズは26×15.5×9cm。右が「巾着ポーチ(小)」で、サイズは22×13×7cm。スマートフォンと鍵だけを入れるなら(小)で十分。だが、文庫本や財布なども入れるなら(大)だと思った。ちなみにこの「巾着ポーチ」に、(中)というサイズは存在しないのでご注意を。
※「巾着バッグ」には、(S)(M)(L)がある。
巾着ポーチ(大)の随所
ディテールがくっきりと見やすい赤茶の「巾着ポーチ(大)」にフォーカスしながら、ここからは各ディテールにズームイン(せっかくお借りできたゆえに!)。
嬉しいことに、バッグ類に関しては、最初からコンチョを選べるという(財布は、まずはコインコンチョからのスタート)。そこで次回は、代表的なコンチョ8サイズをお借りして、「巾着ポーチ」と各コンチョとの相性をじっくりお伝えする。
Photograph by Shinsuke Kojima
Words by Noriaki Moriguchi @GQ