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犯人は在宅勤務者とCEO-売上高の伸び鈍化も予想下回る利益も

  • ハンバーガーチェーンや漂白剤メーカー、オフィス復帰の遅れに言及
  • こうした傾向が終わる時期を問われて肩をすくめるCEOも

気候や戦争、荒い為替変動など、企業は利益の減少と売上高の伸び悩みについて自らの制御が及ばない理由を長らく挙げてきたが、新たに標的となっているのが在宅勤務者だ。

  米バーガーチェーン、シェイクシャックは4日、4-6月(第2四半期)についてニューヨークなど大都市圏で従業員のオフィス復帰ペースが停滞し、売り上げの伸びが市場予想を下回ることにつながったと説明。同社株価は一時、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)初期以来の大幅な下げとなった。

  シェイクシャックだけではない。最近の決算発表を見ると、幅広い業種で企業が鈍い業績の原因として従業員のオフィス復帰(RTO)率の低さを挙げている。

  殺菌シートや漂白剤メーカーの米クロロックスはパンデミック期は売り上げが急増したが、「オフィス利用率が低い」ことで業務用洗浄剤の需要が打撃を受けていると説明。オフィスの洗面所用ティッシュペーパーとトイレットペーパーを手掛ける米キンバリー・クラークも苦戦しており、マイケル・スー最高経営責任者(CEO)は「オフィス関連の需要がすぐに回復することはないだろう」と語った。

  管理セキュリティー会社カストル・システムズによると、10の主要都市圏で従業員のオフィス復帰率を示す指数(7月27日終了週)は平均44%で、ニューヨークやサンフランシスコといったオフィスの大集積地では一貫して同水準を下回っている。 

財布の締まり

  在宅勤務のパターンについて月次調査を行う米スタンフォード大学のニコラス・ブルーム教授(経済学)は、中心部のビジネス地区から人が離れ、その周辺で人口が増える「ドーナツ化現象」が米都市部で起きていると分析。ニューヨーク市の平均的な従業員はオフィスで過ごす時間をほぼ半減し、街中での年間消費をパンデミック前の1万2561ドル(約170万円)から6730ドル減らす方向だと教授は試算する。

  同じくリモート勤務ついて研究するハーバード大学経営大学院のプリトラージ・チョードゥリー准教授はこうしたパターンの継続を予想する。シェイクシャックのランチタイムの客足は依然として、2019年を「かなり下回って」おり、ランディ・ガルッティCEOは回復の見込み時期を尋ねられると肩をすくめた。

通勤に後ろ向き

  コンサルティング会社ガートナーの先月の調査では、参加した組織の3分の2近くが従業員は一段の柔軟性を求め通勤コストを抑えたい意向だと回答。6月時点の約3分の1から割合は上昇した。  

  米電子決済ネットワーク運営会社ビザによると、旅行や外食などでの高額消費は富裕な層で戻りつつあるが、毎日の通勤途中でよく行われる小さめの消費はまだパンデミック前の水準に届かない。

  保険リスク分析のベリスク・アナリティクスは、従業員がオフィスに戻らないことは労働者からの補償保険請求が少ないことを意味すると指摘。同社幹部は、自宅リビングで勤務していれば滑って転ぶことは多くないと語った。

原題:CEOs Blame Remote Workers for Slow Sales, Earnings Shortfalls(抜粋)

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