川崎重工、電動三輪車を欧州投入へーコロナ禍で小型モビリティ需要増
竹沢紫帆-
国内では2022年度に約100台を販売へ、5月の先行販売では即日完売
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走行安定性のある三輪車市場は30年に11億ドルに成長するとの調査も
コロナ禍で小型モビリティの需要が拡大する中、川崎重工業は同社初の電動三輪車を2-3年以内に欧州に投入することを目指している。
川崎重工は前部に2つの車輪を備えた電動三輪車「noslisu(ノスリス)」を5月にクラウドファンディングサイトで100台を先行販売し、即日完売した。開発を担当したプロジェクトリーダーの石井宏志氏によると、国内で2022年度に約100台を販売する計画だ。東南アジアでの新型コロナウイルス感染拡大で部品調達が困難になっているため、販売計画には不透明感も残っているという。
コロナ禍で混雑した公共交通機関に代わり、自転車などの小型モビリティを利用する人は増加している。市場調査会社アライドマーケットリサーチによると、走行安定性のある三輪車の市場は30年までに11億ドル(約1200億円)に達する見通し。
川崎重はフル電動と電動アシスト自転車の2タイプを投入する計画だ。同社はシェアリングサービスなどで活用も目指して他社への車両提供も検討している。石井氏は、欧州での三輪車需要は「間違いなくある」と強調した上で、二輪では足りないような分野をカバーできるようなところを狙っていきたいと意気込む。
石井氏によると、ホンダのスーパーカブをベースとしたバイクを郵便配達に使う日本郵便がノスリスの導入を検討。今夏の東京五輪・パラリンピック期間中、川崎重にフィードバックを送るため、日本郵便はノスリスの実証を行ったという。
石井氏は、日本郵便のパートやアルバイトの募集に対して応募してくる人の多くがカブの運転ができないため、配達員が不足していると指摘。そういった人向けに「自転車くらい車格が軽くて扱いやすいものがあったらいいというのは日本郵便として持っているようで、需要としてうまくやれば、ぴったり合う」との見方を示した。