ドクターマーチンの人気モデル「ジェイドン」は、英国ユースカルチャーの象徴とも言える8ホールをベースに、ダブルソールで仕立てたブーツだ。2013年に登場するや、瞬く間に火がつき、今年で10周年を迎える。「ジェイドン」に携わったクリエイティブ・ディレクターのダレン・マッコイに話を訊いた。
ドクターマーチンの厚底ブーツ、「ジェイドン」誕生秘話──クリエイティブ・ディレクターのダレン・マッコイに直撃
厚底ブーム前夜
ドクターマーチンの「8ホール」といえば、ロックやパンクなど、英国のユースカルチャーを体現したフットウェアだ。このアイコンは、時代の移り変わりとともに進化を遂げ、昨今では、さまざまなブランドとのコラボレーションによって、多くのファッションラヴァーたちからも愛される存在になった。とりわけ、ダブルソールを配した8ホールブーツ「ジェイドン」は、ブランドの進化を後押しした立役者のひとつである。
「ジェイドン」は2013年に誕生。ドクターマーチンのグローバル・クリエイティブ・ディレクターであるダレン・マッコイが関わった一足だ。マッコイはイギリス中部のシェフィールド出身で、ティーンの頃から“マーチンブーツ”を愛してきた。長年デザインチームを牽引し、今では世界各地に拠点を置く同ブランドのスタッフたちをまとめ上げている。今回、来日したマッコイに「ジェイドン」が生まれた背景について訊いた。
ジェイドン誕生秘話
マッコイは「ジェイドン」が誕生した10年前を振り返り、「ストリートを軸にした、パワフルで新しいムーブメントが起きようとしていました」と語りはじめた。
「多くのブランドが、ソーシャルメディアを通じて、インタラクティブなコミュニケーションを模索していた時期でした。そのため、ブランドの象徴である8ホールブーツも新しい次元へとレベルアップさせる必要性があったのです。このブーツのアイデンティティをキープしながら、人々がより自己表現を容易に、さらに力強いものにするためにはどうしたらいいか。あらゆるアイデアが出た結果、私たちはソールを2重にしました。当時はこれほどソールが厚いモデルは少なく、『ジェイドン』がドクターマーチン史上最厚になりました。また、ブーツにサイドジッパーを付け、脱ぎ履きしやすいようにしています。この変更も非常に悩ましかったです」
ジェイドンの着こなし
履く人をエンパワメントするダブルソール。それでいて、クラシックな見た目はどんなスタイルにもマッチする、というのが高い支持を得ている理由のひとつだ。
「ユースカルチャーやパンクを感じさせる装いはもちろん、あらゆるストリートスタイルにマッチします。ヒップホップでもいいし、デザイナーズブランドの服にもフィットする。それがこのブーツの強みです。日本では街を歩くだけで、さまざまなスタイルの着こなしを見かけます。みなさんの個性に寄り添いつつ、自己主張の一助になればいいですね。個人的にはジーンズに合わせるのが好きです。もともとワークブーツなので、タフなボトムスと相性がいいんです」
未来へつながる一足へ
ドクターマーチンは誕生から半世紀以上、音楽を中心としたユースカルチャーに寄り添ってきた。時代は変わり、昔のようにトレンドやスタイルが一極集中することはなくなったが、「ジェイドン」のヒットは、若者たちがドクターマーチンを再び受け入れた証拠である。厚いダブルソールには、新しい世界へと飛躍するパワーが込められているのだろうか。このブーツの先にあるファッションの未来を見届けたい。
ダレン・マッコイ
グローバル・クリエイティブ・ディレクター
イギリス中部のシェフィールド出身。ドクターマーチン内では、ディーマック(DMac)の愛称で親しまれている。これまでにグローバル・カテゴリー・マネージャーを担当し、長年デザインチームを牽引。昨年からグローバル・クリエイティブ・ディレクターに就任し、ブランド全体を統括している。
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