世界の超富裕層、市場変動に乗じ積極的に投資へ-ブラックロック
Benjamin Stupples-
パブリックおよびプライベート市場で投資を増やす計画
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インフラ投資はインフレへのヘッジ兼グリーンエネルギーへの賭け
世界の超富裕層はマクロ経済と地政学的環境の変化から利益を得るため、パブリック(公開)およびプライベート(非公開)市場で投資を増やす計画だ。世界最大の資産運用会社、米ブラックロックの調査が示した。
25日公表の同社リポートによると、最近の調査に答えたファミリーオフィスのほぼ4分の3が投資適格債への配分を増やすと回答。ほぼ半数がインフラストラクチャー投資に前向きな姿勢を示した。
調査対象の120社の約76%が、ボラティリティーが高止まりする中でポートフォリオをより頻繁に見直していると回答。市場環境に対応して投資戦略を変更するとの回答は50%を超え、2020年のほぼ2倍の割合に上った。調査参加企業の合計運用資産は2430億ドル(約33兆9000億円)。
ブラックロックの英ファミリーオフィス・寄付基金・財団担当責任者のビクトリア・マシューズ氏はインタビューで「新たな市場の体制は投資機会の形を変えた」と述べた。ファミリーオフィスは戦術的な資産配分について質問し、「より機敏」であろうとしているという。
超富裕層の資産を管理するファミリーオフィスは過去20年の間に世界で増殖した。ブラックロックと調査コンサルティング会社のイルミナスが昨年11月-今年1月にかけて実施した調査の対象企業の大半は、2010年以降に設立された。
投資適格債の利回りは過去3年で6倍になり、10年以上で最高の水準にある。これは「一世一代の投資機会」をもたらしたと、ブラックロックの世界債券担当最高投資責任者(CIO)、リック・リーダー氏がリポートで指摘した。
「数十年ぶりの激しいインフレと急激な利上げサイクルが進行する中で、より柔軟な債券投資戦略をあらためて検討すべき重要な時期だ」とも論じた。
ファミリーオフィスがプライベート市場に資金を配分するに当たって最も人気があるのはインフラで、42%が投資を増やす計画を示した。投資戦略を左右する変数としてインフレ加速を最も多くが挙げ、62%が言及した。
インフラ投資は「インフレに対するヘッジになると同時にエネルギー移行に乗る優れた手段でもある」とマシューズ氏は説明した。
原題:BlackRock Sees World’s Mega-Rich Seizing on Market’s Wild Swings(抜粋)