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中国不動産セクター、習指導部による改革後こうなる-専門家が予想

  • 住宅価格高騰と建設ブーム終息、国有企業が主導権握り市場安定か
  • 政府が軟着陸に導くといった見方や長く苦痛伴うとの指摘

中国の不動産セクターに対する締め付けがやむ兆しはほとんど見えていない。習近平指導部は米国型の金融危機のリスクを軽減しようとしている。

  目下の大きな疑問は、このプロセスの終わりに中国不動産市場がどのような姿となるか、そして共産党が経済のハードランディングを回避できるかどうかだ。

  中国ウオッチャーは住宅価格高騰と不動産業界の大物らによる借り入れを原動力とする建設ブームが終息に向かうと予測。それに取って代わるのははるかに安定した市場で、当局が投機を迅速に抑え込み、公益企業のようなリターンを生む国有の不動産開発会社が市場の主導権を握るとみている。

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  アナリストや投資家、エコノミストの見方を以下にまとめた。

国際通貨基金(IMF)で中国担当チームを率いた経験があり、現在はコーネル大学に籍を置くエスワール・プラサド氏:

  • 中国は純粋な投資目的で複数の不動産を取得する個人のほか、高レバレッジで規律を守らない不動産開発業者に金融および規制上の制限を課すことで、不動産セクターの投機的活動を抑制する必要がある。これが同セクター内での淘汰(とうた)につながり、経済成長と金融安定に悪影響をもたらす可能性がある

調査会社ローディアム・グループの中国市場調査ディレクタ-、ローガン・ライト氏:

  • この5年にわたる中国の建設ペースはオーナー居住者の実需をはるかに超えており、そうした不均衡がもたらす最も可能性の高い結末は何年間もの建設活動の鈍化だ。政策によって落ち込みを緩和できるかもしれないが、過去20年間の中国経済の主要なけん引役が少なくとも今後数年は成長の大きな足かせになるという事実は恐らく変えられないだろう

華興証券香港のマクロ・戦略調査責任者、龐溟氏:

  • 苦境に陥った不動産大手でシステム上の重要性と連鎖リスクのある一部企業については、不動産市場の急激な悪化を防ぎ、社会・金融の安定性を確保するため、政府が再編プロセスに関与する公算が大きい。政策が中国不動産セクターを制御しやすく実現可能なソフトランディング(軟着陸)に導くと考えている

INGホールセールバンキングの大中華圏担当チーフエコノミスト、彭藹嬈(アイリス・パン)氏:

  • 政府支援型の不動産開発会社が市場シェアを伸ばすはずだが、住宅価格が持続的に上昇しない限り、恩恵は受けられない。今後1、2年はそうした状況になるのが難しそうだ

交銀国際のチーフストラテジスト、洪灝氏:

  • この過渡期は長くかかり苦痛を伴うだろう。暗黙の政府支援を受けている不動産開発会社にはプラスに働く見通しで、既にそうなっている

野村ホールディングスの中国担当チーフエコノミスト、陸挺氏:

  • 減速は避けられない。予想できる最良のケースは向こう数四半期にわたる相対的なソフトランディングだ。ただ、金融危機が起きるとは考えていない。中国には依然としてこうしたリスクに対応する多くのツールがある。銀行が不動産セクターの資金調達で直接・間接的に大きな役割を果たしており、政府は銀行システムを依然として非常にうまくコントロールしている。このため中国の金融市場が混乱に陥る可能性は極めて小さい

パンセオン・マクロエコノミクスの中国担当チーフエコノミスト、クレイグ・ボサム氏:

  • 不動産市場で劇的な再編が起こり、国有企業の支配が強まるだろう。これがニューノーマルになる。中国は消費の新たなけん引役と代替貯蓄手段を見つける必要がある

原題:China Experts Map Out Endgame for Xi’s Revamped Property Sector(抜粋)

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