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ソフトバンクG株5月来の下落率、最悪赤字で孫氏がリストラ決断

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ソフトバンクグループ株が5営業日ぶりに反落した。4-6月(第1四半期)決算が3兆円を超す過去最大の純損失となり、孫正義社長は大幅な人員削減や子会社の売却など「聖域なき」コストカットの実施を表明。厳しい経営状態を懸念する売りが優勢となった。

  ソフトバンクGの株価は9日の取引で一時、前日比7.7%安の5257円まで下げ、日中下落率は5月12日(8%)以来、約3カ月ぶりの大きさとなった。

  8日に発表した4-6月期の純損益は3兆1627億円の損失と創業来最大の赤字に転落した。前年同期は7615億円の黒字。金利上昇への警戒などで世界的に株式の投資環境が悪化し、ビジョン・ファンドなどが保有する出資先株式の価値が低下した。

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ソフトバンクGの孫社長
Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

  孫社長は会見で、企業評価に対しバブル状態にあったのではないかと反省していると発言。赤字の原因となったビジョン・ファンドで「シニアやジュニア、フロントやバック」などで人員削減を「聖域なく、世界的に行うべき」と表明した。米投資会社フォートレス・インベストメント・グループを売却する方針も示し、既に関心を持つ相手と「話し合いを始めている」と述べた。

  シティグループ証券の鶴尾充伸シニアアナリストはリポートで、過去最大の損失を計上したソフトバンクGの決算を「ネガティブ」と評価。ビジョン・ファンド関連の損失が拡大し、「なお底打ちが見えない中、バランスシート防衛を最優先する経営戦略がますます鮮明になっている」と指摘した。

  また、現在1兆円の自社株買いプログラムを実施中のソフトバンクGは8日、4000億円を上限に新たな自社株買いを行う枠を設定したと発表した。実施期間は9日から2023年8月8日までの1年間。

  投資調査会社レデックス・リサーチのアナリスト、カーク・ブードリー氏は投資分析情報サイト「スマートカルマ」に配信したリポートで、「2号ファンドによる資産売却と計画的な投資アプローチにより、追加的な自社株買いプログラムへの道が開かれた」と言及。現在の自社株買いが予定通り終了することを考えると、「投資家はこれをもう少し真剣に受け止めてもよいだろう」と述べた。

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