中国、マイクロン製品購入しないよう警告-米と緊張エスカレート
Bloomberg News-
中国は約1カ月前、マイクロン製品について審査開始と発表
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マイクロンは次の措置を検討、中国当局と協議継続の意向
中国は国内で販売されている米マイクロン・テクノロジーの製品に「比較的深刻な」サイバーセキュリティー上のリスクが見つかったとして、主要な情報インフラ機関に対して同社製品を購入しないよう警告した。
中国の国家インターネット情報弁公室(CAC)は21日の声明で、マイクロン製品は「極めて重要な情報インフラのサプライチェーンに対し、著しいセキュリティー上のリスク」を生じさせていると説明。国家安全保障に影響を及ぼすと続けた。
中国は約1カ月前、メモリーチップ米最大手のマイクロン製品について審査を始めたと発表。半導体を巡って過熱する米中の対立に、新たな戦線が加わった。米政府は既に中国ハイテク企業をブラックリストに掲載し、先端プロセッサーの供給を遮断しているほか、中国半導体業界に対する一部支援を米国民に禁じている。
米商務省の報道官は中国によるマイクロンへの措置について、「事実に基づかない制限措置には強く反対する」とコメント。「中国の行動が引き起こす半導体メモリー市場のゆがみに緊密に対処するため、主要同盟国やパートナーと取り組む」とした。
22日の韓国株式市場ではマイクロンと競合するサムスン電子とSKハイニックスの株価が上昇。香港では中芯国際集成電路製造(SMIC)や華虹半導体など中国の半導体銘柄が値上がりした。
複数の中国当局者が非公式に語ったところでは、マイクロン審査は、国家安全保障への懸念が経済面の理由よりもますます重視されつつある中国で、「報復支持」の声が当局者間で優勢になっている傾向を示すものだ。
米連邦捜査局(FBI)当局者として北京で防諜(ぼうちょう)活動に従事したトレンチコート・アドバイザーズ創設者ホールデン・トリプレット氏は「CACの決定について、米国の半導体輸出規制に対する報復以外の要因を挙げる人はいないだろう」とした上で、「中国で事業活動を行う外国企業はこのような口実に惑わされるべきではない。これはまさに政治的行動であり、どの企業も次の見せしめになり得るだろう」と指摘した。
こうした動きは中国に製品を販売する他の米半導体メーカーに新たな不確実性をもたらしている。クアルコムやブロードコム、インテルは大量の半導体を中国に供給。これら半導体が同国で組み込まれた電子製品は世界中に出荷されている。
CACは21日の声明で、法律や規制を順守する限り、どの国の企業が提供する製品・サービスも歓迎するが、マイクロン製品の審査は、国家安保上の「必要な措置」だと説明。安保面の具体的なリスクや、どのマイクロン製品が禁止されたかは明らかにしていない。
マイクロンは21日の発表文で、審査結果を精査しており、次の措置を検討しているとした上で、「中国当局との協議を続ける」ことを期待しているとした。これに先立ち、自社製品の安全性と顧客へのコミットメントを堅持すると表明していた。
同社は売上高に占める中国本土の割合が昨年度で約11%。他の大手ハイテク企業よりは低めだが、世界の電子機器生産の多くは何らかの形で中国の工場を経由しており、中国の措置はマイクロンの顧客関係に悪影響を及ぼす恐れがある。
マイクロンは日本との関係を強化している。同社は日本政府から2000億円の支援を受け、広島工場で次世代DRAMの生産を目指していると、ブルームバーグは事情に詳しい関係者からの情報として報じた。岸田文雄首相は先週18日、マイクロンのサンジェイ・メロートラ最高経営責任者(CEO)を含む海外の大手半導体メーカー幹部と首相官邸で会談し、日本国内への積極的な投資を呼びかけた。
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原題:China Bars Micron Chips in Escalation of US Tech Clash (3)、US Says China Micron Restrictions Have ‘No Basis in Fact’(抜粋)