9月28日(現地時間)、コシェ(KOCHÉ)がパリのブロンニャール宮殿で2023年春夏コレクションを発表した。デザイナーのクリステル・コシェは今年、自宅のあるパリと北カリフォルニアと行き来する生活を送っていた。グーグルに招かれた彼女は、同社の研究開発部門「Google ATAP(Advanced Technology & Projects)」と協力し、光に反応するデザインや、五感を刺激するテクノロジーを取り入れたアイテムの製作に取り組んでいたのだ。例えば、刺繍入りのスカートには、ヒップあたりを触ると刺繍がネオンライトのように点滅する仕掛けが施されていた。
イノベーション×モードの可能性。
コシェは、グーグルとともに4点のアイテムを製作した。どれも「何千時間のイノベーションと手作業」を要し、この実験的な技術が実装されるのはまだ先のことになるだろう。しかし、着用者の状況を判断し、警告を発したり、あるいは好みに合った人が近づいてきたらそれを合図したりなど、さまざまな応用法が考えられ、従来のファッションの幅を将来的に広げる技術であることが期待できる。
洗練された装飾美。
コシェはブランド初期の頃から、ストリートとクチュール的な要素を融合してきたが、今季の彼女はフェザーやスパンコール、レースやパッチワークなど、リュクスな装飾を取り除いた。シアー素材に刺繍を施し、モデルが着用すると素肌の上に繊細な模様が浮き出るトップや、リーフ柄の彫刻を施したメタルモチーフ付きのノースリーブなど、より洗練されたアートライクなディテールが取り入れられた。さらに、ホワイト、ブラック、ブラウンといった落ち着いた色を基調とし、デビュー当初のカラフルな印象からシフトした。
パンデミックは多くのブランドに影響を与えたが、コシェのドラマティックなイメチェンは、少し過剰修正のように思える。彼女が得意とする大胆な色使い、繊細な装飾美、スポーツミックスな世界観、そしてユニークなパターンメイキングが再びランウェイで披露されることに期待したい。
Photos: GoRunway.com Text: Nicole Phelps Adaptation: Sakurako Suzuki
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