ブラックのフェラーリで颯爽と撮影現場にあらわれた工藤さん。華麗に6速のマニュアル・トランスミッションを操っているのが外からでもよくわかる。
「このクルマがメディアに出るのは、はじめてかもしれません」という愛車は、25年以上前に新車で購入した「F355」。今でも根強い人気を誇るV8エンジン搭載のミッドシップ・フェラーリだ。内装は、美しいパープルのレザーで覆われている。今まで見たことのないカラーリングだ。「日本に届いてから納車までのあいだに張り替えました。はじめて見たとき『派手だなぁ』と、驚いたのをよく覚えています(笑)」
なんと、工藤さんのオリジナルデザインというのだから驚きだ。紫といっても色合いの異なる3色を、場所によって細かく使い分けているのが美しい。ちなみに、ボディカラーはホワイトと悩んだという。「白と紫の組み合わせだったら、もっと派手だったでしょうね(笑)」
F355は、しばらく、仕事やプライベートなど、さまざまなシーンで愛用していた。上の子が生まれてからも、フェラーリに乗っていたが、2人目が生まれてからは、すっかり乗る機会が減り、最近はほとんど乗っていない。それでも手放さない理由とは?
「自分のために買ったクルマはフェラーリが最後だったんです。あとは、家族と共有する非常に素晴らしい日常のクルマなので、このF355は自分の楽しみとして、このまま持っていたいなぁ、と……」
これだけ長期間所有しているとなると、気になるトラブルは?
「大きなトラブルはありませんでしたね。でも今回、取材のためにクルマを出そうとしたらバッテリーがあがっていたんです。それが初のトラブルかもしれません(笑)」と、工藤さん。これからは、月に1回は運転しようと思ったそうだ。
F355は「自分が落ち込んでいる時に助けてくれたバディです!!」と、笑顔で話す。バディと別れるわけにはいかない。工藤さんと彼女のフェラーリF355は固い絆で結ばれているのだ。
工藤静香(アーティスト・女優)
東京都出身。1987年にシングル「禁断のテレパシー」をリリースしてから、今年でソロ・デビュー35周年を迎える。
PHOTOGRAPHS BY HIROMITSU YASUI
WORDS BY KUNIYASU INAGAKI @ GQ
HAIR STYLED & MAKE-UP BY RIE SHIRAISHI
STYLED BY TSUGUMI WATARI @ TW