ティーンの頃から新世代の代弁者として支持を集め、昨年「GQ MEN OF THE YEAR」ブレイクスルー・アーティスト賞を受賞したLEX。自身にとって過去最大規模のツアー「With U Tour」を終えたばかりだ。
「前回のツアーは新型コロナウイルスの影響で東京と大阪しか回れなかったのですが、今回は6カ所。ツアーというものをナメてました(笑)。ライブが始まっちゃえば最高だけど、本番前の緊張感を何度も味わうのが精神的にキツかった。ライブの内容にも納得はいっていないのですが、その気持ちが次に繋がると思っています。ただ、ファイナルを地元である神奈川のKT Zepp Yokohamaで迎えられたことには達成感がありました」
マイクスタンドを使い、バラード曲「大金持ちのあなたと貧乏な私」を歌い上げるなど、その佇まいはもはやポップスターだ。
「〝ヒップホップだからこうしなきゃいけない〟ってことに囚われるのは、逆にヒップホップじゃないなって思ったんです。音楽は自由なものなので、ルールは作りたくないし、壁を壊している瞬間がいちばん楽しい。もちろん従来のヒップホップのスタイルを貫くアーティストがいるのもいいと思う。両方いるからこそ面白いと思っています」
ヘッズというよりは、ライブに初めて来たような客層が増えていることに関し、「未来を感じてワクワクした」と伝えると、とても嬉しそうに「僕もこれからが楽しみです」と答えた。「ヒップホップ好きじゃない人にも届くようになったことで、より責任感が伴うようになったのは自覚しています。いろんなことに挑戦できる環境が整ってきて、元々持っていたヴィジョンの通過点に来ている気がする。でも結局自分は、気分が落ち込んでいる時に聴いてもらえる〝はぐれ者〟のような存在でいられたらいい。僕は僕。変わっていくことと変わらないことを日々模索しています」
活動の軸は〝自由にやりたいことをやる〟。高速で進化を続ける20歳の目には、無限の未来が見えている。
「正直、これまであったようなラップの曲を作ることは簡単にできます。でも僕は歌がうたえるので、それを活かして自分だけが伝えられるものを伝えていきたい。学校の授業で歌われるような曲も作りたいし、いっぽうでロックなものも見せたい。自分の生まれた日本でやれることをやってから、海外に挑戦したい気持ちもあります」
PICK UP
『with U』
(2022)
「With U Tour」ファイナルのKT Zepp Yokohama公演の2日前、9月7日にリリースされた最新曲。「Stay」や「なんでも言っちゃってfeat. JP THE WAVY」で知られるKMがプロデュースを手掛けた。
『20(Complete Mixtape)』
(2022)
SoundCloud初期音源と未発表曲をコンプリートした初のミックステープ。暗い過去と輝かしい未来が交錯する18曲を収録した10代最後のリリース作品。ミックスはLEX自身が担い、マスタリングはKMが担当。
『LiFE』
(2020)
2020年8月リリースの3rdアルバム。「人生」をテーマに制作された17曲を収録。JP THE WAVY、OZworld、MIYACHI、C.O.S.A.、Young Coco、Leon Fanourakis等が参加し、プロデューサーとしても飛躍した作品。
Lex
2002年生まれ、神奈川県出身。 14歳からSoundCloudに楽曲をアップロードし始め、2019年に1stアルバム『LEX DAY GAMES 4』をリリース。2021年に「GQ MEN OF THE YEAR」ブレイクスルー・アーティスト賞を受賞。
PHOTOGRAPHS BY TOKI
STYLED BY KEISUKE KANOH
HAIR STYLED & MAKE-UP
BY ATSUSHI HASEBE
WORDS BY KAORI KOMATSU