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米インフレ率3%は非常事態の終わりを示唆、金融政策の転換点に

更新日時
  • 6月の総合CPIは2021年3月以来の水準、コアCPIも低下
  • 米利上げは今月のFOMC会合で当面打ち止めとの見方強まる
The Marriner S. Eccles Federal Reserve Board Building in Washington, DC. 

The Marriner S. Eccles Federal Reserve Board Building in Washington, DC. 

Photographer: Kevin Dietsch/Getty Images

米国のインフレ率が急激に鈍化し、ほぼ2年ぶりの水準に低下した。生活費危機の終了、そして恐らくは米金融当局による歴史的引き締めの終わりに向けて大きな一歩となる。

  6月の米消費者物価指数(CPI)上昇率は前年同月比3%で、1年前に付けたピーク時の3分の1の水準にまで落ち着いた。コアインフレの主要な指標も予想を下回るなど、統計の詳細もインフレ抑制の進展を示す内容だ。

米CPI、6月は急激に鈍化-利上げ近く打ち止めとの期待高める (3)

Inflation in US Decelerates by More Than Forecast

Consumer price index and core gauge post smallest gains since 2021

Source: Bureau of Labor Statistics

  インフレとの闘いが全て終わったという意味ではない。これはとりわけ、今月の会合で追加利上げが広く確実視されている連邦公開市場委員会(FOMC)に当てはまる。ただ、そこで利上げが当面打ち止めになる確率はいまや50%以上あるだろう。

  これが12日のCPI発表後、市場が織り込みつつある見方だ。米短期債利回りは低下、株は上昇、ドル指数は14カ月ぶり低水準となった。これは全て、米当局が引き締めを緩めるとの期待に基づいている。

ドル下落、円やスイス・フランが急伸-米CPI鈍化で利上げ軌道再考

  オックスフォード・エコノミクスの米国担当チーフエコノミスト、ライアン・スイート氏は今回のインフレ統計について、「今月の後の追加利上げが必要かどうかについてFOMCで議論する理由になり得る」と指摘。「米当局が進めてきた現在の引き締めサイクルは終わりに近付いている可能性が高い」と述べた。 

  ブルームバーグ・エコノミクスのアナ・ウォン、スチュアート・ポール両氏はリポートで「6月CPIは米金融当局が利上げサイクルを終了しようとしている重要な局面で発表された。インフレ低下に有利に働くのはベース効果だけではなく、経済の減速も寄与している。FOMCは7月25、26両日の会合で利上げに踏み切る可能性が極めて高いが、その後、さらなる利上げの必要性に懐疑的になる当局者が増えるかもしれない」と論じた。

  ただ、単月のCPI統計だけで米金融当局者の姿勢にすぐ大きな影響が及ぶ可能性は低いとみられる。

  米リッチモンド連銀のバーキン総裁はCPI発表後に行われた講演で「インフレ率は高過ぎる。われわれの目標は2%だ」と言明。「手を引くのが早過ぎればインフレが再び強まり、そうなれば米金融当局はさらなる行動が必要になる」と語った。

リッチモンド連銀総裁、インフレ率まだ「高過ぎる」-目標2%を強調

原題:Inflation at 3% Flags End of Emergency, Turning Point for Fed(抜粋)

(第6段落以降を追加して更新します)
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