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「最も危険な」米国債をショート、現金同等資産を積み上げ-ジュピター

  • 現金同等資産への配分は過去最高の約40%に引き上げ
  • 「米当局は実質金利が上昇するまで利上げをやめないだろう」

ジュピター・ストラテジック・アブソルート・リターン・ボンド・ファンドを運用するマーク・ナッシュ氏は2年物米国債をショートしている。米連邦準備制度が年内に利下げをするという市場の予想は間違っていると考える同氏は、2年物を「最も危険な」米国債と呼ぶ。

  「米連邦準備制度にとって、現時点の最優先課題は当面のインフレ期待を冷やすこと」であるため、金利動向に敏感な証券は「イールドカーブの中の最も危険な部分になる」とナッシュ氏は説明した。同氏のファンドは過去5年の成績が同種ファンドの91%を上回っている。

  同氏はインタビューで「インフレを押し下げるためには実質金利の上昇が必要なことは極めて明白であり、米金融当局はそれが実現するまで利上げをやめないだろう」と語った。「政策はまだ十分に引き締まっていない」と指摘した。

US Two-Year Yields Have Fallen Even as Fed Kept Hiking
 
 

  

  金融市場を揺るがした米地銀危機の中で、2年物は米国債の中で最も大きく変動した部類に入る。

  米金融当局が年内に利下げをするかどうかは、世界の市場で最も熱い議論が交わされている話題の一つだ。トレーダーらは当局のインフレ抑制の取り組みが成長を減速させるかどうかを見守っている。JPモルガン・アセット・マネジメントやピクテ・アセット・マネジメントなど運用業界の大物の間でも見解は分かれており、年後半に向かうに従いボラティリティーが高まる条件がそろっている。

6月利上げ予想に自信

  ナッシュ氏は米金融当局が6月に利上げをし、過熱した物価を十分かつ確実に冷やすため予想可能な将来にわたって金利を高い水準で維持する必要があるだろうとの自身の予想に自信を持っている。一方、スワップトレーダーらは11月前後からの利下げを織り込み始めており、この見方を反映して米2年債利回りは3月の高水準から約80ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低くなっている。

  ナッシュ氏のファンドは1、2カ月物の米財務省短期証券(TB)など現金同等の証券への投資を増やし、ポートフォリオに占める割合を過去最高の約40%とした。低成長、低インフレ環境への市場の移行に伴いポートフォリオを調整した。高利回りクレジットでも幾分のショートポジションを構築し、ドルについては成長に敏感なスウェーデン・クローナに対する上昇を見込んでいる。

  ナッシュ氏は「リスクを低くし、キャリーが稼げる現金同等資産を大量に保有している。自身の予想が実現した場合に備える幾つかのポジションを含むポートフォリオを作っている」と話した。

  日本国債についても先物を通じて小規模なショートポジションを組んでいるが、大きなポジションではないと語った。世界の他の国・地域が利上げをしなければ、日本銀行は政策修正から後退するだろうと指摘した。

 

原題:Jupiter Shorts ‘Most Dangerous’ Treasuries, Builds Cash Pile (1)Jupiter Shorts ‘Most Dangerous’ Treasuries, Builds Cash Pile(抜粋)

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