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為替動向を注視し必要あれば適切に対応、足元の円安受け-財務官

更新日時
  • 政府・日銀として金融・為替市場の動向や経済への影響を十分注視
  • 特定のレベルではなく変動幅が重要、必要ならあらゆるオプション

財務省の神田真人財務官は30日、為替市場で円安が進んでいることを受け、「為替相場はファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが重要だ。過度な変動は好ましくない」とし、「為替市場の動向をしっかり注視し、必要があれば適切に対応していく考えに変わりはない」との認識を示した。

  財務省と金融庁、日本銀行が開いた国際金融資本市場に関する情報交換会合後、記者団に語った。3者会合の開催は、米銀行の経営破綻をきっかけに金融システム不安が高まった3月以来で、今年2回目。

  神田財務官は、「足元の金融市場では、米国の債務上限問題や金融セクターの問題といったリスク要因が指摘されている」とし、政府・日銀として「金融・為替市場の動向やわが国経済への影響を十分に注視する必要があるとの認識を共有した」と述べた。

  今回の会合は4月の日銀新体制発足後、初めての開催となる。神田財務官は「新体制下でも意思疎通を密に図りつつ市場のさまざまなリスクに万全を期すことを確認した」と語った。

  30日の外国為替市場でドル・円相場は一時1ドル=140円93銭と、昨年11月以来のドル高・円安水準を付けた。米利上げを織り込んだドル先高観や日本株の堅調などを背景にドル・円の上値を試す流れとなっていたが、3者会合の開催が報じられると140円台前半まで急速に値を下げた。

  神田財務官は足元の為替動向について「特定の相場のレベルに着目しているわけではなく、変動幅が重要だと考えている。140円といった個別レベルに対して特にコメントすることない」としながらも、「必要があれば、あらゆるオプションを否定しない」と語った。ただ、会合の開催自体に円安けん制の意図は「全くない」と述べた。

  ニッセイ基礎研究所の上野剛志上席エコノミストは会合開催前の取材で、この1カ月の速い円安ペースをけん制する意味も込めて三者会合を開くと推察。足元の円安の背景については、米国での利上げ観測再燃で「一服したと思われた日米金融政策の方向性の違いが再び鮮明化している。さらに日本株がすごく強いので、リスク選好的な円売りもある」と分析した。   

  3者会合には、財務省から神田財務官と奥達雄総括審議官、金融庁からは天谷知子金融国際審議官と栗田照久総合政策局長、日銀からは清水誠一理事が出席した。

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(神田財務官の発言の詳細を追加して更新しました)
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