世界で争奪戦必至!時計通が唸る日本のウォッチ・メーカー、新作5本を一気見せ!──「NAOYA HIDA & CO.」

“日本一の時計通”が立ち上げた「NAOYA HIDA & CO.」が2022年の新作5モデルを発表。既存モデルをベースにアップデートを加えた熟成機が揃った。
世界で争奪戦必至!時計通が唸る日本のウォッチ・メーカー、新作5本を一気見せ!──「NAOYA HIDA  CO.」

 “日本一の時計通” 、次の一手は?

日本のマイクロウォッチブランド、「NAOYA HIDA & CO.」が2022年新作5モデルを発表した。内訳はスモールセコンドの「NH TYPE 1D」と「NH TYPE 1D-1」、センターセコンドの「NH TYPE 2C」と「NH TYPE 2C-1」、そしてムーンフェイズを搭載する「NH TYPE 3B」だ。

「NAOYA HIDA & CO.」は数多くの有名時計メーカーの日本における販売に携わってきた飛田直哉が立ち上げたウォッチメーカー「NH WATCH」が展開するウォッチブランドだ。古今東西の高級腕時計を知り尽くした飛田による、自身が理想とする時計作りを体現した「NAOYA HIDA & CO.」の時計は、どれも好事家の涙腺を誘うものばかり。結果として世界中の時計愛好家から支持を得て、2019年の発売開始からわずか4年にして「もっとも入手困難なマイクロブランド」と呼ばれるまでに成長した。

2022年の新作は5モデルで、共通点は新ケースの採用である。これまでストレートだったラグに曲線を与え、さらに裏蓋をスナップバックからスクリューバックへと切り替えた。興味深いのはスクリューバックだ。一般的にスクリューバックはネジを切ったミドルケースの中にパッキンを入れ、そこへ裏蓋をねじ込むことによって高い気密性を得ている。つまり、本来ならば高い防水性能を得るために採用されることがほとんどだ。

しかし飛田によれば、今回の5作でスクリューバックを採用したのはあくまで“自身の好きだったモデルにスクリューバックのものが多かったため”。つまり、見た目のための変更に留めているのだ。その証拠にいずれも防水性能はこれまでと同じ5気圧のままで、さらにケース厚も各シリーズの既存モデルと同じだ。

新作5本を詳しく見ていこう。

ブランドの原点とも言えるスモールセコンド「TYPE 1」はプロトタイプを含めて4作目となる1Dへ進化。最大のポイントはSSケースだけではなく、ブランドとしてはじめて18KYGのベゼルを採用したコンビモデルを追加したことだ。SSが「NH TYPE 1D」、コンビが「NH TYPE 1D-1」で、インデックスの太さが両者で異なる。ゴールドの印象に負けないよう、後者のほうがより太く彫られている。

共通しているのはスモールセコンドの秒目盛りが一体から別体パーツへと変更された点だ。飛田曰く、変更の理由は「かつてのアブラアン-ルイ・ブレゲなどが、これらパーツを別体としていた」から。「この時代の加工技術では文字盤と秒目盛りを一体で作れなかったため、ブレゲ先生は別体を選択したに過ぎません。しかし、その仕様こそが自分にとって理想のデザインなのです」。

なお、別体としたことによって、わずかながら両パーツの間にはクリアランスが生まれた。結果としてそれが立体感につながったと飛田は語る。

TYPE 1シリーズの後に追加されたセンターセコンドのTYPE 2は「NH TYPE 2C」へとアップデートした。1Dと同様、文字盤とインデックスサークルを別体化したうえで、さらに秒目盛りをレイルウェイに変更した。

「TYPE 2C」はバリエーションとしてマーク・チョー率いる「THE ARMOURY」とのコラレーションモデル「NH TYPE 2C-1」も展開している。こちらは「TYPE 2B」をベースにインデックスのフォントを変更し、さらに「NAOYA HIDA & CO.」と「THE ARMOURY」のロゴをそれぞれ文字盤上に刻んだダブルネームとしている。

もっとも若いシリーズであるTYPE 3の最新作「NH TYPE 3B」は、ムーンディスクにエングレーブされる月の顔のデザインが変更される予定だ。ただし残念ながらこちらはプロトタイプのため、じっさいの顔つきがどのように変わるのか現時点では不明である。

どれもひと目見ただけでは違いに気付かない、まさに熟成という表現がぴったりなラインナップだ。一度発表したモデルをそのまま放置せず、手を入れ続ける。「NAOYA HIDA & CO.」の快進撃は、時計に対する飛田の真摯な姿勢によるものだ。

NAOYA HIDA & CO.

NH TYPE 1D

SSケース×ゴートレザーストラップ、手巻き、37mm径、2022年度の製造予定20本、214万5000円。

NH TYPE 1D-1

SS+18KYGケース×カーフレザーストラップ、手巻き、37mm径、2022年度の製造予定15本、269万5000円。

NH TYPE 2C

SSケース×ゴートレザーストラップ、手巻き、37mm径、2022年度の製造予定10本、242万円。

NH TYPE 2C-1

SSケース×カーフレザーストラップ、手巻き、37mm径、2022年度の製造予定10本、253万円。

NH TYPE 3B

SSケース×アルカンターラストラップ、手巻き、37mm径、2022年度の製造予定15本、214万5000円。

NH WATCH
https://naoyahidawatch.com

文・細田雄人