新生銀、SBI側の説明は「不正確」との認識表明-買収提案巡り
萩原ゆき-
19年の資本提携の拒絶理由だった公的資金の返済スキーム記載なし
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株主が十分な情報を持って判断できるよう経過などを開示
新生銀行は16日、SBIホールディングスによる株式公開買い付け(TOB)提案を巡り、SBI側の説明には、これまでの両社間の対話の経緯など株主の判断に影響し得る「主要な事実関係」が正確に示されていないとの認識を表明。株主が十分な情報に基づき判断できるよう過去の提携提案の内容やその後の経過について開示した。
新生銀によると、今回のTOBに関連してSBIHDから公表された内容には、2019年の資本・業務提携の提案で新生銀の辞退理由となった公的資金返済スキームが含まれていた事実や、当時SBIHDが新生銀の辞退理由を異論なく受け入れたと返答した事実などが記載されていないとしている。
当時の公的資金返済スキームでは、SBIHDによるTOBと合わせて新生銀が自社株買いをすることで一般株主の割合を低下させ、SBIHDと国の保有が計90%の議決権となったところで一般株主から強制的に株式を買い取る「スクイーズアウト」を実施。その上で、国が保有する株式を買い戻して公的資金を返済することが提案されていた。
同スキームについて新生銀は、自己株取得の時点で、将来的に国から高い価格で買い取る前提を一般株主にも周知すべきであり、実現性が低いと判断したとしている。
また、資本提携の辞退後にSBIHDからは戦略的意味合いのある出資比率を持たないとの了解を得ていたにもかかわらず株式の買い増しが進められ、問い合わせの都度、個別の説明がされ続けてきたという。
新生銀の担当者は、今回の開示は株主に対しTOBに応じないよう意図したものではなく、SBIHDからの提案内容については取締役会が検討していると述べ、対抗策などへの言及はなかった。TOBに関する意見表明については17日の取締役会で討議すると発表した。
SBIHDは9日、新生銀に対するTOBを実施し、出資比率を48%に引き上げ事実上傘下に置く形で連携を強化すると発表した。新生銀はSBIHDから事前の連絡を受けておらず、取締役会の賛同を得たものではないとコメント。TOB届出書の内容などを分析した上で対応を表明するとしていた。
SBIHDによると、議決権が50%超となると銀行法上の認可などが必要となるため、48%まで速やかに引き上げることが望ましいと判断したという。SBIHDは新生銀株をこれまで市場で買い増してきたが、北尾吉孝社長は「純投資」だと説明していた。
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