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ESGは利益を生む資産を発掘するツール-競合91%に勝った運用者

  • 「社会的価値生み出す企業」かつ「そこから利益得る企業」へ投資目指す
  • キューブルーの2ファンドは、MSCIで「AAA」の格付けを維持

デンマークのキューブルー・バランストが運用するトップランクのESG(環境・社会・企業統治)ファンドは、相次ぐESG格下げの波を乗り切ってきた数少ない商品だ。同ファンドの運用マネジャーは、マネーこそESG戦略の目的だと指摘する。

  「これは、お金を稼ぐことについての話だ」。2018年にキューブルーを立ち上げた元オンタリオ州教職員年金基金の最高投資責任者(CIO)、ビャーネ・グレーベン・ラーセン氏は話す。

  「われわれは格付けを最適化しようとしてきたわけではない」と、グレーベン・ラーセン氏はインタビューでコメント。「社会的価値を生み出すとみられる企業」かつ「そこから利益を得るとみられる企業」への投資方法を見いだそうとしてきたと言う。

  同氏はESGについて「将来、かなりの利益を生む」資産を発掘するためのツールだと説明した。

  またESGを巡る議論は次第に「感情的」になっており、ESGは見過ごされたり誤解されたりすることの多いアプローチだとの見方を示した。

注意を要する話題

  同氏はESGを巡る騒動の理解に苦闘する運用マネジャーの1人だ。ESGは米国の政治問題に巻き込まれている。共和党議員はESGへの攻撃を強めており、企業や投資家がESGリスクを考慮することを阻止する法案を州議会で多数提出してきた。こうした議論の高まりを受け、ESGについて話すのが難しくなっていると指摘する。

  「ESGを巡っては、世界的に見解の示し方について非常に注意を要する話題になってきた」と同氏。「人々が事実に耳を傾ける時間があるとは限らないからだ」と言う。

  ブルームバーグがまとめたデータによると、キューブルーの「ナビゲラ・グローバル・サステナブル・リーダーズ・ファンド」は過去1年間、同種のファンドの91%にパフォーマンスで勝っている。同ファンドは欧州連合(EU)のサステナブルファイナンス開示規則(SFDR)で9条に分類されている。9条は、SFDRの枠組みで最も基準が厳しい分類だ。

  キューブルーはまた一部の大手運用会社と異なり昨年末、9条ファンドの格下げに踏み切らなかった。

  キューブルーの2ファンドは、MSCIが対象とする投資ポートフォリオのうち「AAA」のESG格付けを維持しているわずか0.2%の中に含まれる。MSCIは今年初め、3万1000本のファンドが格下げの対象となり、従来20%に上った「AAA」格付けはほとんど維持されないとの見通しを示していた。

原題:Fund Boss Who Beat 91% of Peers Says ESG Is Key to Making Money(抜粋)

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