米金融当局者、7月会合で利上げ再開する方向-CPI急激に鈍化でも
Sam Kim、Laura Curtis、Jonnelle Marte-
手を引くのが早ければインフレが再び強まる恐れとバーキン総裁
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7月が現サイクルの最後の利上げになるとみている-EYのダコ氏
米金融当局は、12日発表の6月の消費者物価指数(CPI)が急激な鈍化を示したものの、当局の物価目標を引き続き上回っていることで、今月の連邦公開市場委員会(FOMC)会合で利上げを再開する方向にあると見受けられる。
変動の大きい食品とエネルギーを除くコアCPIは前年同月比4.8%上昇と、2021年終盤以来の低い伸びとなった。この傾向が続けば、金融当局には7月のFOMC会合後に利上げを停止する余地が生じる可能性があるとエコノミストは話す。
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しかしリッチモンド連銀のバーキン総裁は、米CPI上昇率は6月に鈍化したとはいえ、まだ高過ぎると指摘。インフレ率を目標の2%まで戻すという米金融当局のコミットメントをあらためて強調した。
同総裁はメリーランド州アーノルドでの講演で、「手を引くのが早過ぎればインフレが再び強まり、そうなれば米金融当局はさらなる行動が必要になる」と語った。
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アーンスト・アンド・ヤング(EY)のチーフエコノミスト、グレゴリー・ダコ氏は「きょうわれわれが目にした統計は現在の引き締めペース鈍化を裏付けると私は思う」とコメント。航空運賃とホテル宿泊料、住宅コストの下落が示されたとし、インフレが減速すれば実質金利はより景気抑制的になり、今月のFOMC会合以後の追加利上げの必要性が低下する可能性があるとの見方を示した。
その上で、今月25、26両日に開かれる次回FOMC会合が「現サイクルの最後の利上げになると私はみている」とダコ氏は話した。
大半の米金融当局者は物価圧力の低下ペースが予想より鈍いことや、底堅い労働市場を理由に年内のさらなる利上げを見込んでおり、6月公表のドット・プロット(金利予測分布図)では年内に合計0.5ポイントの追加利上げが示唆されている。
パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長は2会合連続利上げの可能性を排除しないとの見解を先月示している。
ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は12日に発表した論考で、銀行に対して、根強いインフレを抑制するために追加利上げが必要となる事態に備えるべきだと警鐘を鳴らした。
市場は現在、インフレと金利がともに下がると見込んでおり、その通りの展開になれば、銀行のバランスシートに対する圧力も和らぐ可能性が高いと同総裁は指摘する。
「だが、インフレが想定よりも定着していると判明した場合、追加利上げが必要になり、資産価格は一段と下落して、銀行への圧力が増す可能性がある」とし、「そのようなシナリオでは、政策担当者は積極的なインフレ退治か、銀行安定の支援かの二者択一を余儀なくされる」と説明した。
原題:Fed Set to Raise Rates in July Despite Inflation Slowdown(抜粋)