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米軍機、中国の気球をサウスカロライナ州沖で撃墜-中国側は抗議

更新日時
  • 1日の時点で国防総省に撃墜を命じたとバイデン大統領は説明
  • 米国務長官の訪中延期など米中間の新たな緊張の種となっていた
A large balloon drifts above the Kingston, North Carolina, on Feb. 4, 2023.
A large balloon drifts above the Kingston, North Carolina, on Feb. 4, 2023. Photographer: Brian Branch/Brian Branch

米空軍の戦闘機は4日、偵察用とされる中国の気球をサウスカロライナ州沖で撃墜した。気球は過去数日間にわたり米大陸を横断して飛行し、中国との新たな緊張の種となっていた。

  バイデン大統領は同日、記者団に対し、「地上の誰にも被害を及ぼすことなく」、できる限り早く撃墜するよう1日の時点で国防総省に命じていたことを明らかにした。米軍は気球が米領海内の大西洋上にある4日が撃墜に最善のタイミングと判断した。

  一方、中国側は米軍による気球撃墜に「強い」不満を表明するとともに、この出来事に対し必要な対応を講じる権利を有すると主張した。

  中国外務省は5日の声明で、不可抗力で米領空に入った民生利用と同国が主張する気球について、武力の使用による撃墜は「明らかな過剰反応」であり、国際的な標準的慣行に反すると抗議した。

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米軍機が偵察用とされる中国の気球を撃墜(2月4日)
Source: Jason Sellers/ AP Photo

  気球撃墜の計画に関し、中国に事前の通知はしなかった。米当局者は中国政府に対し、こうした行動を取る権利を有していることは伝えたが、撃墜決定後に計画を巡りさらなる詳細を示すことはなかった。

  バイデン大統領は「彼らは撃墜に成功し、任務を遂行したパイロットらを称賛したい。この件については、もう少し後にさらに報告することになるだろう」と記者団に語った。

  偵察用とされる中国の気球が米国の領空に侵入したとの情報を受け、ブリンケン米国務長官は習近平国家主席との会談が予定されていた訪中を延期。国内では、野党共和党からトランプ前大統領も含め、気球撃墜を求める声が強まっていた。気球は一時、大陸間弾道ミサイル(ICBM)の基地があるモンタナ州の上空を飛行していた。

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記者団に話すバイデン大統領(2月4日、メリーランド州ヘイガーズタウン)
Photographer: Andrew Caballero-Reynolds/AFP/Getty Images

  オースティン米国防長官は声明で、「米大陸の戦略的な場所を偵察」しようと、中国が気球を使っていると指摘するとともに、その撃墜計画には「飛行進路の緊密な監視と情報収集活動」が伴ったと説明した。

  オースティン長官は撃墜の軍事行動について、バイデン政権が「中国人民共和国による容認不可能な米国の主権侵害に対し、効果的に対処している」ことを示すとコメントした。

  米当局者は米中関係の進展が困難になると予想する一方、両国とも今回の出来事の影響を長引かせないようにする理由があると説明した。中国の気球は中南米でも飛行が別途確認され、米国防当局者は、同様に偵察活動を行っていると判断したが、米国にとって懸念事項ではないと、事情に詳しい関係者1人が明らかにした。

  米国の船舶が現場に航行し、気球の残骸の回収作業を進めており、米当局者は気球の能力についてさらに情報を得る見通し。

  記者団への説明を行った米高官2人の話では、F22戦闘機がミサイル1発を発射し、米東部時間午後2時39分(日本時間5日午前4時39分)に気球を撃墜した。米国民に危害が及ぶことなく、撃墜する最初の機会を捉えた。F22は高度約5万8000フィート(約17.7キロメートル)を飛行中、「AIM-9Xサイドワインダー」ミサイルを高度6万-6万5000フィートを飛行中の気球に発射したという。

  米連邦航空局(FAA)は4日、米空軍による気球撃墜のため、ノースカロライナ、サウスカロライナ両州沿岸の空域の一部を一時飛行禁止とし、4つの空港の発着停止を命じた。

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原題:US Downs Alleged Chinese Spy Balloon That Lingered for Days (4)

China Protests US Downing of Balloon, Keeps Right for ‘Reaction’(抜粋)

(バイデン大統領の発言や中国側の反応など詳細を加えて更新します)
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