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JPモルガンのダイモン氏、米中関係緊張にもひるまず訪中へ

  • JPモルガンが上海でイベント対面開催、ゼロコロナ終了で4年ぶり
  • モルガンSは5月30日から6月1日に香港で中国焦点のイベント開催
ジェイミー・ダイモン氏
ジェイミー・ダイモン氏 Photographer: Cyril Marcilhacy/Bloomberg

米銀JPモルガン・チェースが31日に開催する中国サミットでジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)が舞台中央に上るとき、4年前の訪中時とは大きく異なるビジネス環境に直面するだろう。

  この主要イベントが前回、対面で開催された2019年当時は、JPモルガンとウォール街の大手金融機関は、中国による待望の金融セクター開放の好機を生かそうと準備を進めていた。

  だが今年は、米中関係がここ数十年で最悪の状況下で開催される。中国経済の低迷と外国企業に対する政府の締め付け強化により、世界の銀行は同国での野心を見直さざるを得ず、利益目標の修正や人員削減を迫られている。

  上海のコンサルティング会社Zベン・アドバイザーズのマネジングディレクター、ピーター・アレクサンダー氏は、「今はダイモン氏を除いて、誰もが何をするにしても、非常に目立たないアプローチをとることは明らかだと思う」と述べた。

JPMorgan Chase & Co. Chief Executive Officer Jamie Dimon Interview
ジェイミー・ダイモン氏
Photographer: Cyril Marcilhacy/Bloomberg

  これまで3年間はバーチャル形式が続いていたが、今回は中国が「ゼロコロナ政策」を終了して以来初めてグローバル銀行が中国本土で開催する大規模イベントとなる。例年の北京から開催地を金融センターの上海に移し、2600人以上のバンカーや顧客を集めて静安シャングリ・ラ・ホテルで2日間の日程で開かれる。

  JPモルガンは米中関係が緊張する中でも平静を装う構えだ。イベントは「We are Back!」と題した講演で開幕する予定で、逆風にもかかわらず中国に長期的にコミットするという同行の基本路線を強調することを示唆している。

  今回のイベントのアジェンダには、ファイザーや百度(バイドゥ)、スターバックスの最高経営責任者(CEO)らをはじめ、米中両国の実業界の大物が名を連ねている。今月100歳を迎えたキッシンジャー元米国務長官とライス元国務長官はバーチャル形式の円卓会議を行う予定。

  一方、ライバルのモルガン・スタンレーは30日から6月1日にかけて香港で中国に焦点を当てたイベントを開催する。中国企業260社の幹部約500人と世界の投資家1500人以上が参加する。

  双方とも、中国ビジネスを巡るリスクと不確実性がかつてないほど高まっている中での会合となる。コンサルティング会社の事務所捜索や日本の製薬会社社員の拘束など、最近の中国政府の行動は外国人経営者を不安にさせている。スパイ疑惑や台湾の主権、米国の技術輸出規制を巡って緊張が高まっており、中国の新駐米大使は両国関係が「深刻な困難と課題」に直面しているとの認識を示している。

  復星財富國際のプロダクト・ディーリング責任者ネルソン・ヤン氏は、「マクロ環境は3年前より悪化している」と述べ、「今回のイベントは、外国人投資家が中国に戻り、そこで何が起きているかを確認するための足掛かりのようなものになる」との見方を示した。

Wall Street Banks Still Have Billions at Stake in China | JPMorgan, Citigroup, Bank of America have cut exposure amid tensions
 
 

原題:Dimon Defies Rising Tensions, Deal Drought With Return to China(抜粋)

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