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ヘッジファンド再び債券ショート、8月損失も金利上昇期待に逆らえず

  • CFTCによれば、米国債の投機家建玉の売り越しは3週連続で増加
  • JPモルガンはより強い成長とインフレが市場に反映されると確信
A trader works on the floor of the New York Stock Exchange (NYSE) in New York, U.S., on Tuesday, Sept. 7, 2021. 

A trader works on the floor of the New York Stock Exchange (NYSE) in New York, U.S., on Tuesday, Sept. 7, 2021. 

Photographer: Michael Nagle/Bloomberg

ヘッジファンドは、インフレ加速が最終的に痛みを伴う米国債相場急落を招く方向に再び投資ポジションを傾け、それが再び裏目に出ようとしている。

  8月の米消費者物価指数(CPI) 上昇率が予想を下回り、成長とインフレの回復が債券利回りを押し上げるとの観測が覆されたことで、米10年国債利回りは過去1週間で9ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)下げ、15日は1.28%となった。

  しかし米商品先物取引委員会(CFTC)の最新データによれば、米国債の投機家建玉の売り越し(全満期の総計)は8月後半に4年ぶりの水準に縮小した後、3週連続で増加。最近の損失にもかかわらず、いわゆる「ショートデュレーション」投資にヘッジファンドがあらがうことは難しいと分かる。

  金利上昇の方向に賭けるマクロヘッジファンドの投資は、これまで裏目に出た。米ファンド運営会社アルファダイン・アセットマネジメントは、今夏のグローバル債券市場のショートスクイーズ(踏み上げ)で最大の犠牲を被った投資会社の一つだ。

アルファダイン、1635億円損失-債券市場ショートスクイーズで犠牲に

  景気拡大とインフレ環境下で通常売られるはずの米国債相場は上昇し、10年債利回りは3月末の1.77%をピークにその後約0.5ポイント低下。新型コロナウイルスのデルタ株拡大が続き、世界的景気回復が脅かされる限り、債券ショートのファンドは、プラスのリターンが得られる時を待つ日々が続く恐れがある。

  だが少なくともJPモルガン・チェースのストラテジストらは、より力強い成長とインフレが市場価格の設定にすぐに反映されると確信し、債券ポジションをアンダーウエートとし、景気敏感株を中心に株式は「大きくオーバーウエート」にするよう顧客に勧めている。

   マルコ・コラノビッチ氏らストラテジストらは13日の顧客向けリポートで、「今の成長の弱さに市場が気を取られることはないと確信し、スタグフレーションの不安はかなり誇張されていると考える。リフレーション/経済再開トレードは、平均を上回るパフォーマンスを回復すると見込んでいる」との見解を示した。

Net-short Treasuries positions are growing again in recent weeks
 
ブルームバーグ

  

原題:
Hedge Funds Are Shorting Bonds Again in Ill-Timed Inflation Bet(抜粋)

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