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米消費者が迫られる倹約、歯磨き粉など必需品も切り詰め-企業に逆風

  • 12日発表の6月CPI、21年3月以降で最も低い伸びの予想
  • 消費財メーカーや小売企業には厳しい局面が到来へ
Empty shelves in the toilet paper aisle at Harmons Grocery store in Salt Lake City, Utah,

Empty shelves in the toilet paper aisle at Harmons Grocery store in Salt Lake City, Utah,

Photographer: George Frey/Bloomberg

米消費者の間で衛生用品などに対する倹約志向が広がっており、米経済や消費者関連企業の業績にとって不安材料となりそうだ。

  米国ではインフレ高進にもかかわらず、所得増加や政府の景気刺激策を受けて消費者は支出を続けてきた。しかし、こうした追い風は弱まりつつあり、今やトイレットペーパーや歯磨き粉といった日用品でさえ節約傾向が見られる。12日に発表される6月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比3.1%上昇と、2021年3月以降で最も低い伸びが予想されている。

米CPI、21年以降で最も低い伸びか-コア高止まり利上げ再開へ (1)

  モーニングスターのアナリスト、エリン・ラッシュ氏は「消費者にかかる負担はここ数カ月でさらに深刻化している」と指摘。食料支援プログラムの減少や税金還付の縮小、余剰貯蓄の使い果たしなどが影響していると述べた。

Shrinking Baskets

US shoppers are buying fewer units of food and non-food essentials at retail

Source: NIQ

*2023 data is year-to-date through June 24

  イリノイ州オークパークで2人の娘を育てるシングルマザーのホリー・アーネストさん(48)は最近、家賃の値上げが迫っていることもあり、シェービングクリームを買うのを諦めて石けんで代用することにし、歯磨き粉や保湿剤も安価な製品に乗り換えた。

  「それが現実だと受け入れただけだ」と、法律事務所でイベントコーディネーターとして働くアーネストさんは語る。  

  5月の米個人消費支出(PCE)統計では、インフレが鈍化し、消費支出は実質ベースでほぼ横ばいにとどまった。

米PCE価格指数の伸び鈍化、実質消費は横ばい-景気失速を示唆 (2)

  米小売店での購買動向を調査しているNIQによると、歯磨き粉や洗濯用洗剤、トイレットペーパーの販売数量は6月24日までの52週間で約3-4%減少した。

  数週間後に直近の四半期決算を発表する消費財メーカーや小売企業にとって、今年下期の見通しは厳しいものになりそうだ。こうした企業の株価は今年、S&P500種株価指数に遅れを取っている。プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)では販売数量が過去4四半期で減少した。

  NIQのカーマン・アリソン氏は「消費者が疲弊しているのだから、企業は価格以外でビジネスを成長させる新たな方法を見つける必要がある」と指摘。「給料ぎりぎりの暮らしをする人は増えている」と語った。

原題:Frugality Spreads in Threat to US Economy and Corporate Growth(抜粋)

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