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グラミー賞2023受賞曲をプレイリストで振り返り。最高峰アワードも多様性の時代に?

2月5日(現地時間)にロサンゼルスのクリプト・ドットコム・アリーナで第65回グラミー賞が開催され、受賞結果が明らかとなった。人種や年代、LGBTQ+まで、ダイバーシティーの時代を映し出したかのようなラインナップに。主要6部門を受賞した各アーティストを楽曲とともに押さえておこう。
グラミー賞2023は誰の手に? 受賞曲をプレイリストで振り返り
Photo: CBS Photo Archive/Getty Images

1.【最優秀アルバム賞】ハリー・スタイルズ『Harry’s House』

活動休止中のワン・ダイレクションのメンバー、俳優としても知られるハリー・スタイルズ(HARRY STYLES)が通算3作目となる『Harry’s House』にて、最優秀アルバム賞を獲得。同作のタイトルは細野晴臣が73年にリリースした『HOSONO HOUSE』からネーミングしたとのこと。コロナ禍によりツアーが中止となったことをきっかけに数名の親しい仲間と自宅でワインを飲みながら制作したのだという。エモーショナルなラブソングとして話題を呼んだ先行シングル「As It Was」をはじめ、ヴィンテージロックやフォークに80年代ディスコの輝きをブレンドしたレトロでリラックスした作品だ。


2.【最優秀レコード賞】リゾ「About Damn Time」

大胆不適なパフォーマンスとポジティブパワーでダイバーシティ時代のポップアイコンとして大ブレイクしたリゾ(LIZZO)。見事、最優秀レコード賞を受賞した「About Damn Time」は、昨年7月にリリース2ndアルバム『Special』に収録されている先行シングルで、全米シングル・チャート1位を獲得した。同曲は、ヒップホップ・ユニット、ワールズ・フェイマス・シュプリーム・チーム(The World's Famous Supreme Team)が84年にリリースした名曲「Hey DJ」を元ネタに、コーラスパートを絶妙にサンプリングしている。70年代~80年代ディスコを彷彿させるゴージャスでカラフルなサウンドが特徴的だ。


3.【最優秀楽曲賞】ボニー・レイット「Just Like That」

最優秀楽曲を受賞したのは、73歳のギタリストでシンガーのボニー・レイット(BONNIE RAITT)の「Just Like That」。同曲は、昨年約6年振りにリリースされた通算21作目となる同名アルバム「Just Like That…」に収録されている。名手と呼ばれるほどの腕前を持つボニーのスライドギターに時折擦れるハスキーボイスが胸を打つスローでブルージーなナンバーだ。80年代からグラミー賞ノミネート、受賞を繰り返してきたキャリア50年以上を誇る現役ベテランミュージシャンの実力を改めて見せつけた。


4.【最優秀新人賞】サマラ・ジョイ「Guess Who I Saw Today」

祖父母と父親がゴスペルシンガーという音楽一家に育ち、圧倒的なボーカルセンスを持つ次世代ジャズシンガー、サマラ・ジョイ(SAMARA JOY)。10代から実力を発揮し、弱冠22歳にしてジャズの名門ヴァーヴと契約を果たす。スタンダードなジャズナンバーをオリジナルアレンジして歌うことを得意とし、オーセンティックなシンガーとして注目を集めている。「Guess Who I Saw Today」は、昨年メジャーデビューアルバムとしてリリースされた『Linger Awhile』に収録されており、柔らかくて暖かく、深みを帯びたベルベットボイスに引き寄せられる。


5.【最優秀ポップ・ソロ・パフォーマンス賞】アデル「Easy on Me」

グラミーの常連、バラードの女王アデル(ADELE)が最優秀ポップ・ソロ・パフォーマンス賞を獲得した楽曲は、2021年にリリースされた「Easy on Me」だ。同曲は、SpotifyとAmazon Musicの1日のストリーミング再生数が過去最高記録に達し、元夫との間にもうけた息子アンジェロへ向けた楽曲といったエピソードも話題に。同年11月にリリースされたアルバム『30』にも収録されている。美しくもエッジの効いた歌声で何度もリピートされるフレーズ「Easy On Me」は、メランコリックなアデルの心情を表しているようだ。


6.【最優秀ポップ・デュオ/グループ・パフォーマンス賞】サム・スミス&キム・ペトラ「Unholy」

サム・スミス(SAM SMITH)がキム・ペトラス(KIM PETRAS)とコラボレーションした「Unholy」が最優秀ポップ・デュオ/グループ・パフォーマンス賞を受賞。キム・ペトラスは初のトランスジェンダー女性として同賞を獲得し、LGBTQ+シーンにおいても記念すべきアワードとなった。同曲は、サム・スミスが今年1月にリリースしたばかりのアルバム『Gloria』に収録されており、リードシングルとして昨年9月にリリースされた直後から大ヒットを記録している。オープニングの激しいコーラス、過激で挑発的な歌詞など、メッセージ性の強いダンストラックに仕上がっている。

Text: Kana Miyazawa Editor: Saori Asaka