吉日とは、何かを始めたり決断するのに向く、縁起が良いと言われる日。だが、どのような背景のもとに定められ、どんな種類があるのかをきちんと把握している人は少ないかもしれない。基本を知って、2023年の吉日にアクションを起こそう。
1 そもそも、吉日の基準って？
2 一粒万倍日や寅の日etc.、吉日の種類と違い
3 2023年3月〜12月の吉日カレンダー＆月別開運アクション
1 そもそも、吉日とは何を基準に選んでいる？
吉日のベースとなる選日は、陰陽五行説に基づいて選ばれています。では、なぜ、陰陽五行説で選ばれるのでしょう？ 古代中国で生まれた自然哲学思想である陰陽説と五行説が結合し、日本で陰陽道として独自の発展を遂げました。この陰陽道は“天皇が治める日本を守るため”のものだったのです。平安時代の陰陽師、安倍晴明が所属していた陰陽寮は国の機関だったわけです。守るべき日本には、日本国民や日本に暮らす人も含まれます。だから、そのような思想が込められた選日を私たちも積極的に活用し、吉日とされる日からハッピーになろう！ ということなのです。
選日は長年、旧暦に記載されてきましたが、明治に入り、新暦が採用されるとともに「迷信だから」という理由で存在が薄くなっていきました。ですが、最近また見直されてきています。これは従来の、中国の漢籍を出典とする元号ではなく、日本の古典『万葉集』を出典とする、初めての和風元号である令和の時代ならではの現象だと、私は見ています。時代が、いっそうの日本らしさを求めているのかもしれません。そういう意味で、選日を活用することは今の日本に生きる私たちにふさわしい開運アクションと言えます。
ところで、陰陽五行説ルーツの選日とは、どのようなものなのでしょう？ そのほとんどが、前述の安倍晴明が書いたとされる書物によるやり方で定められているようです。
まず、木火土金水という、この世を司る5つのエレメントがあり、木→火→土→金→水の順で無限に循環し、矢印の流れでエネルギーを生み出します。逆に木は土の、土は水の、水は火の、火は金の、金は木のエネルギーを抑えてしまいます。この考え方に、立春や夏至など、太陽の動きによって定められる二十四節気の月と、1日ごとに割り振られた干支の組み合わせで決められています。たとえば、一粒万倍日は2月（啓蟄から清明の前日までの寅の月）なら、酉と寅の日、3月（清明から立夏の前日までの卯の月）なら、子と卯の日というように。
2 一粒万倍日や天赦日、寅の日etc.、吉日の種類と違いとは？
・天赦日
天が地上のあらゆる物の罪を許し、万物を養い育ててくれる日。二十四節気における春の戊寅、夏の甲午、秋の戊申、冬の甲子の日の年6回前後あり、何をやるにも最強の吉日で、特にこの日に始めたことはうまくいくとされています。特におすすめは婚約、結婚、独立、起業。また、お稽古ごとや勉強、趣味を始めるにも向いています。金運アップも期待できるので、財布、不動産や株などの購入にもおすすめです。
・一粒万倍日
1粒の籾が育ち、万倍もの実りになって戻ってくるという縁起のよい日。二十四節気における3月（現在の新暦とは異なり、清明から立夏前日。2023年では4月5日〜5月5日）なら、子と卯の日が当てられていて、月に4～7回あります。この日に始めたことは増えたり広がったりするので、婚約、結婚、独立、起業。お稽古ごとや勉強、趣味の開始、貯金、株や宝くじの購入によしとされています。逆に借金も含め、マイナスなことは避けるといいでしょう。
・寅の日
金運UPを目指すなら、この日！ と言われているのが、寅の日です。日本の思想は古代中国から学んだものが多いのですが、虎は彼の地では竜と並んで、邪気を祓う神聖な生き物とされてきました。また、金色の毛皮が金運に。そして、「虎は千里往って千里還る」と言われることから、1度出ていったものが戻ってくるという意味を込めて、財布から出たお金が戻ってくる、旅行に行ったら無事に戻るとされています。なので、財布や宝くじを買ったり、旅行に行くのにふさわしい日です。逆に葬儀は婚礼は避けた方がいいでしょう。
・巳の日
巳、つまりヘビの日もまた、金運UPの日。七福神の一柱であり、金運や商売繁盛、芸術や芸能、学問、勝負ごとを司どる弁財天の使いが白蛇であることから、巳の日は金運をはじめ、弁財天が司るジャンルについて願うのがよいでしょう。巳の日は12日ごとに巡ってきますが、60日に1度、年6回巡ってくる十干の巳（つちのと）と重なる己巳の日はその効果が倍増します。この日は独立、起業、財布や株、宝くじ購入。また、勉強や習いごとを始めるといいでしょう。
3 各月の開運アクション＆吉日カレンダー
2023年3月 3月21日は最強の開運日！周囲との調和も忘れずに
3月 1日(水) 一粒万倍日 不成就日
3月 9日(木) 一粒万倍日 寅の日 不成就日
3月12日(日) 己巳の日
3月16日(木) 一粒万倍日
3月21日(火) 一粒万倍日 天赦日 寅の日
3月24日(金) 巳の日
3月28日(火) 一粒万倍日
飛躍、成長、家族の無事や家庭が平和であることを願うといいでしょう。選日に習いごとや勉強を始める、事業をスタートさせるのはいいのですが、すぐやめないように！ ちゃんと吟味して、続けられるものを選ぶことも重要です。仕事用の服やバッグ、シューズ、メイクアイテムの購入。また、髪を切るなどのイメチェンもおすすめです。周囲の人と調和することを目指し、穏やかで笑顔を絶やさないよう心がけましょう。基本的には争わない。違う意見を言うときは、できるだけソフトに伝えるとよさそうです。3月21日は一粒万倍日、天赦日、寅の日が重なる最強の開運日と言われていますので、ぜひ以上を参考にしながら新たなことにトライしてみてください。
2023年4月 自己表現よりも愛されキャラに
4月 2日(日) 一粒万倍日×寅の日
4月 5日(水) 巳の日
4月12日(水) 一粒万倍日
4月14日(金) 寅の日
4月15日(土) 一粒万倍日
4月17日(月) 巳の日
4月24日(月) 一粒万倍日
4月26日(水) 寅の日
4月27日(木) 一粒万倍日
4月29日(土) 巳の日
人との出会いが増える月。愛されキャラを目指しましょう。挨拶は自分から、明るくハキハキとした声で。声をかけられたら、明るく「ハイ」と返事をして。自己表現よりも、愛されたり、信用を得るためのメイクやファッション、言葉遣いやマナーを心がけると、今後、長期にわたってやりやすくなります。ただ、悪く思われたくないようにと評判ばかり気にして振る舞うことは、保身ともとられます。上っ面だけいい人というのは信用されませんから、ここぞというタイミングでは、自分の意志をきちんと表明することも必要です。
2023年5月 吉日にはボランティアを
5月 8日(月) 寅の日
5月 9日(火) 一粒万倍日
5月10日(水) 一粒万倍日
5月11日(木) 己巳の日
5月20日(土) 寅の日
5月21日(日) 一粒万倍日
5月22日(月) 一粒万倍日
5月23日(火) 巳の日 不成就日
これまでに始めたことを拡大し、高めていく時期。自分の人生はもちろん、世のため人のために先頭に立って行動していくつもりでいると、より開運します。なので吉日には、困っている人を助けるクラウドファンディングを立ち上げたり、寄付を集うのもいいですし、ボランティア仲間を募るのにも向いています。注意事項としては暴飲暴食、また、人に対しての偉そうな態度。これをやると、せっかく開運アクションを起こしても、効き目がなくなってしまいます。
2023年6月 美的センスを磨こう
6月 1日(木) 寅の日
6月 2日(金) 一粒万倍日
6月 3日(土) 一粒万倍日
6月 4日(日) 巳の日
6月 5日(月) 天赦日
6月13日(火) 寅の日
6月16日(金) 一粒万倍日 巳の日 不成就日
6月17日(土) 一粒万倍日
6月25日(日) 寅の日
6月28日(水) 一粒万倍日×巳の日
6月29日(木) 一粒万倍日
金運、商売繁盛、才能開花、勉強などに力を入れるといいでしょう。美的感覚を磨くとさらに開運につながるので、アートの鑑賞や購入、また習いごとでも音楽や芸術系を始めたり、さらにお金をかけて深みにハマるのもいいですし、それらに使用する楽器や道具を買うのもおすすめです。もちろん、ファッションや美容にお金をかけるのもいいと思います。注意事項としては、嫉妬するのはほどほどに。
2023年7月 人脈も仕事も、目指せ“拡大”！
7月 7日(金) 寅の日
7月10日(月) 己巳の日
7月11日(火) 一粒万倍日
7月14日(金) 一粒万倍日
7月19日(水) 寅の日
7月22日(土) 巳の日
7月23日(日) 一粒万倍日 不成就日
7月26日(水) 一粒万倍日
7月31日(月) 寅の日 不成就日
思いっきり、事業や仕事など活動の幅を拡げる、人脈を拡げるなど、拡大方向に舵を切ることをおすすめします。多少の無理も効くときなので、集中して何かに励むと大きく、未来が開けます。体を動かすとエネルギーの循環もよくなるので、定期的なスポーツは吉。熱しやすく、冷めやすくもなっているので、途中で投げ出さないよう気力を保つようにしましょう。暴飲暴食や浪費には特に注意を。
2023年8月 心がけるべきは、他人ファースト
8月 3日(木) 巳の日
8月 4日(金) 一粒万倍日×天赦日
8月 7日(月) 一粒万倍日
8月10日(木) 一粒万倍日
8月12日(土) 寅の日
8月15日(火) 巳の日
8月17日(木) 一粒万倍日
8月18日(金) 天赦日 不成就日
8月22日(火) 一粒万倍日
8月24日(木) 寅の日
8月27日(日) 巳の日
8月29日(火) 一粒万倍日
大きな変化を望むというよりは、平穏無事な日々が続くことを祈りましょう。そのためには自分は一歩引いて、常に他者ファーストを心がけるといいでしょう。金運UPの行動も発展というより継続を見据えたものがよさそうです。ただ、あまりにのんびりしていると運が通り過ぎてしまうので、この時期までにやると決めたことを改めて、選日に始めたり、集中して取り組んでみましょう。
2023年9月 パーティースタイルが、吉
9月 3日(日) 一粒万倍日 不成就日
9月 5日(火) 寅の日
9月 8日(金) 己巳の日
9月11日(月) 一粒万倍日 不成就日
9月17日(日) 寅の日
9月18日(月) 一粒万倍日
9月20日(水) 巳の日
9月23日(土) 一粒万倍日
9月29日(金) 寅の日
9月30日(土) 一粒万倍日
新しいこと、難易度の高いこと、華やかなことにチャレンジするのに向いています。この時期はひとつと言わず、複数のことに手をつけてもOK。吉日は欲しいものの購入にも向いていますが、特にこの時期はアクセサリーなども含めて、パーティー用のファッションにお金をかけて。パーティーを実際に開くのも、もちろんいいと思います。開放的なシーズンですが、それゆえに口が災いの元になりやすいのでご注意ください。
2023年10月 交際費を奮発してみて
10月 2日(月) 巳の日 不成就日
10月 5日(木) 一粒万倍日
10月11日(水) 寅の日
10月14日(土) 巳の日
10月15日(日) 一粒万倍日 不成就日
10月17日(火) 天赦日
10月18日(水) 一粒万倍日
10月23日(月) 寅の日 不成就日
10月26日(木) 巳の日
10月27日(金) 一粒万倍日
10月30日(月) 一粒万倍日
いっそうの努力をすることで運を味方につけることができます。吉日に開運アクションを起こす際には「私も死ぬほど努力するので、どうか力をお貸しください」という気持ちで。それによって人から助けてもらえる運気も上がりますから、吉日には接待交際費を奮発する、お世話になった方にプレゼントを贈るなどの行為もおすすめです。「自分はこんなに努力をしている」という気持ちは、同時に慢心を引き起こしやすいので、謙虚な姿勢で過ごしましょう。
2023年11月 学びと義理人情に重きをおいて
11月 4日(土) 寅の日
11月 7日(火) 己巳の日
11月11日(土) 一粒万倍日
11月12日(日) 一粒万倍日
11月16日(木) 寅の日 不成就日
11月19日(日) 巳の日
11月23日(木) 一粒万倍日
11月24日(金) 一粒万倍日 不成就日
11月28日(火) 寅の日
万事、控えめな方が幸運を得られます。吉日には楽しいこと、華やかなことにお金を遣うより、続けるための出費が吉。勉強のための参考書やセミナー費用にお金をかけるのもいいですし、まだ芽が出ないし、どうなるかわからないけど続けたいものに投資するのもいいと思います。この時期は義理人情が開運のカギ。困ったときに貸してもらったお金を返すのも素晴らしい行為。注意事項は、完璧を求めすぎないこと、頑固にならないこと、批判しないこと。
2023年12月 アクティブな年末が運を呼ぶ
12月 1日(金) 巳の日
12月 5日(火) 一粒万倍日
12月 6日(水) 一粒万倍日
12月 7日(木) 一粒万倍日
12月 8日(金) 一粒万倍日
12月10日(日) 寅の日 不成就日
12月13日(水) 巳の日
12月19日(火) 一粒万倍日
12月20日(水) 一粒万倍日
12月22日(金) 寅の日
12月25日(月) 巳の日 不成就日
12月31日(日) 一粒万倍日
健康や美容に関することにお金を遣うといいでしょう。吉日にスポーツクラブに入会する、スポーツウェアやシューズを新調する、エステやマッサージを受けたりサプリを購入する。また、人の役に立つことをするといいので、ボランティアや寄付もおすすめです。注意事項は、親切にしすぎたり、人を信じすぎて騙されないように。努力はほどほどにして、疲れたら休みましょう。また、部屋の片付けや洗濯はこまめにして、散らからないように。
以上、日本のラッキーデー“吉日”についてお話しましたが、日本文化を代表する茶の湯では「日日是好日」という禅語が好まれています。「生きている限り、悪い日はない。毎日がハッピーなのだ」という意味です。やりたいことと吉日がぴったりとマッチすればいいですが、そこにハマらなかったとしても悪くなるわけではないのです。それでももし、気になったときには「日日是好日」の言葉を思い出せば、OK！ 人生は生きてるだけで丸儲けですからね！
Text: Yusetsu Fufjishima Editor: Maki Hashida
