いまや飛ぶ鳥を落とす勢いの乃木坂46も、デビューした7年前は“二番煎じ”と揶揄されたものだった。生田絵梨花はその1期生。いいときも、そうでないときも、中心メンバーとしてグループを支えてきた。
「14歳のときから、ずっとこうしたい、ああしたいといろんなことを考えていました。しかも完璧じゃなきゃ気がすまない(笑)。空回りしていたなと、いまでは思います。それがここ1、2年はいい意味で隙間というか、余裕をもてるようになった。まわりの人の意見も聞けるし、自分が楽しめる方法を考えることができる。最近は、若いメンバーを見て、『みんな楽しめているかな』とか、おばあちゃんみたいな気分です(笑)」
余裕がもてるようになったのも、個人での活動が増えてきたから。特に彼女が力を入れているのは、子供のころからの夢だったというミュージカルの舞台だ。
「ひとりでプロのミュージカルの世界に飛び込むと、自分の未熟さと、恵まれた環境にいたということがよくわかる。外でがんばるからグループに戻ると、力が抜ける。そのバランスがいいんだと思います」
昨年から『ロミオ&ジュリエット』『レ・ミゼラブル』『モーツァルト!』など、大作への出演が続き、舞台出演のスケジュールは来年まで埋まっている。
「プロの俳優やスタッフに囲まれて何もできない自分や、こてんぱんに怒られる自分が、くやしいけどうれしい。そういう場所を求めていたんだなと思います。アイドルは瞬発力だけど、舞台は持久力。一瞬の演技が素晴らしくても、それを2カ月、3カ月と続けられないと意味がない。歌も演技もまだまだ。引き出しも少ない。でももう後戻りはできない。ミュージカル女優として認められるようになりたいです」
アイドルとは未完成を楽しむエンタテインメントだ。彼女がミュージカル女優として完成されたとき、それはアイドルではなくなるということを意味する。いまは未完成と完成のはざま、美しく成熟するとき。だからこそ生田絵梨花がひときわ輝いて見えるのだ。
生田絵梨花
1997年生まれ、東京都出身。2011年、自らの意思で受けた乃木坂46の1期生オーディションに合格。翌年、CDデビューを果たす。特技はピアノ。音楽的素養が高く、ミュージカル女優としても注目を浴び、数々の大作に出演している。乃木坂46 21stシングル「ジコチューで行こう!」が8月8日(水)にリリース決定。