妊婦さん、席譲ります 意思表示マークに反響
電車やバス内で妊婦に席を譲りたい人が、意思表示のため身に着けるタグ「席ゆずりますマーク」が話題だ。お互いに声を掛けやすくしようと育児休暇中の男性が考案、会員制SNS(交流サイト)で共感が広がっている。製作にかかる実費相当の380円(送料別)で販売し、3カ月間で約8千個の注文が入った。
マークを作ったのは東京都小金井市の会社員、椎野祐輔さん(31)。昨年12月に長男が誕生し、現在は1年間の育休中だ。きっかけは、出産前の妻に付き添って電車に乗った際、優先席に座っていた高齢女性に席を譲ってもらった経験という。
座席に若い人もいたが、妻が妊娠中と気付かない様子だった。事情を話せば席を譲ってくれた可能性はあるが、声を掛けるのをためらい、結果としてお年寄りに負担をかけてしまった。
「譲って」とお願いするのは勇気がいるし、譲る側も「どうぞ」と言うタイミングを逃していると肌で感じた椎野さん。譲りたい人が意思を示すことで、遠慮なく声を掛け合えるようになればと考え、マークを作るアイデアが浮かんだ。
妊娠中を示すマタニティーマークの利用許可を厚生労働省から取得しデザインに採用。「席ゆずります 声かけてください」とのメッセージを添えた。関東や関西の鉄道路線のイメージカラーに合わせ12種類ある。
昨年末に完成し、年明けにSNSに投稿すると「優しいアイデア」「こんなマークを待っていた」などのコメントとともに拡散し、注文が殺到。最近では企業の経営者が購入し、社員に配るケースも増えたという。
椎野さんは「将来的には、高齢者や障害者など席を必要とする人が皆、周囲の配慮を得られるようなマークに発展させたい」と話している。〔共同〕