初めての愛車はポルシェ
ちょっと旧いオープンスポーツカー、アルファロメオ「スパイダー」に乗る俳優の長谷川京子さん。
しかしもともとクルマにはさほど興味がなく、自動車免許を取ったのも30歳のときと遅かった。だが初めての愛車選びに悩んだ長谷川さんは、なんといきなりポルシェを購入してしまう。
「最初のクルマだし、もしぶつけてしまっても諦められるクルマにしようかな……と、思ってクルマに詳しい先輩に相談したんです。そうしたら“京子、そうじゃないよ、絶対にぶつけたくないクルマを買うべきだ”と言われて。なるほど、その考え方がいいなと思って」
アドバイスを受け、「本当に乗ってみたいクルマってなんだろう?」と、考えた末、「やっぱりポルシェじゃん!」と、思い当たった。
とはいえ初心者にいきなりポルシェ、とはなかなかハードルが高い。検討した結果、カタチが可愛くて、乗りやすそうで、価格的にもなんとか手が届きそうなボクスターを選ぶことにした。
「“ポルシェをあんなにノロノロ運転している人は見たことがない”とか言われながら(笑)。でも初心者マークのポルシェだと、まわりのクルマが優しいというか、恐れて近寄ってこないというか(笑)。結局ぶつけないで済みました。ほどなく子どもが産まれたので、オープン2シーターじゃ難しいねということで手放してしまったんですが、また乗りたいクルマです」
ボクスターを手放し、子どもも乗せられるクルマということで買い替えたのは、アルファロメオの4ドアセダン「159」。
もともとクルマに興味がなかったという割にはかなりマニアックな選択に思えるが、まわりにクルマ好きが多く、「アルファロメオがいいんじゃない」と勧められて決めたという。
その黒い159には7年ほど乗り、仕事場への行き来や子どもの送り迎えなど、あちこち走りまわった。そしてふとしたきっかけから現在所有するアルファロメオ・スパイダーへと乗り換えるが、そのあたりのいきさつは前編を読んでいただきたい。
「今はスパイダーとボルボ『XC90』の2台体制。クルマは私にとって“もうひとつの家”のようなものなんです。毎日、あれこれと忙しく予定を詰め込むのが好きなので、クルマで動いて隙間の時間を車内で過ごすことが多いですね。子どもを習い事に送って、終わるのを待っている間にコーヒーと甘いものを買ってひと息、なんていうのは至福の時間。お芝居の台本もクルマの中で覚えます。家だと家事や子どものことなどいろいろ気になって集中できないんです。それより車内で集中してやるほうが好きなので、台本に限らず仕事はクルマの中でやることが多いですね。自分にとってとても大事な空間なんです」
今回、撮影のために用意したクルマはポルシェ初の電動スポーツカー「タイカン」。長谷川さんからのリクエストだ。
タイカンは前後アクスルにモーターを搭載する四輪駆動を基本としたフルEVで、ハイパフォーマンスモデルの「ターボS」では761PSの最大出力を発揮、0〜100km/hの加速タイムはわずか2.8秒という驚異的な加速力を誇る。
「以前ボクスターに乗っていたので、ポルシェの最新EVってどうなんだろう?って興味がありました。デザインとしては2シーターが好きで、後席ドアがあるスポーツカーってあまり……と、思っていたんですけど、タイカンはパッと見た瞬間“カッコいい”と。とくに正面から見たフォルムがいいですね。ポルシェって、品があって、エレガントで、動物で言うと“チーター”みたいなイメージ。色気があるクルマだなって思います」
第一印象でタイカンが気に入ったという長谷川さんに、ハンドルを握ってもらう。初めてドライブするEVスポーツカーに最初は慎重に接していたが、日頃からクルマで動いているというだけあり、すぐに慣れた様子で混み合う都心をすいすいとスムーズに走らせた。
「静かで、速い。ぜんぜんストレスがないですね」と、30分ほどの試乗を終えた。
「電気自動車になっても、ポルシェらしさはちゃんと残っているように思いました。できれば高速道路とかもっとスピードを出せるシチュエーションであれば、もっとよさがわかったでしょうね。個人的には静かでもスムーズでもないクルマも好きなので(笑)、ストレスがないのが必ずしもいいのかどうかわからないんですけど、タイカンはスムーズなだけじゃなくて、運転する楽しさがあるなと思いました」
いつかまた、ポルシェが似合う年齢になったら乗ってみたいと言う長谷川さん。そのときに選ぶのはタイカンのようなEVスポーツカーですか? と、尋ねてみた。
「憧れは『911』のカブリオレなんです。でもこれから電気ステーションがいろんなところにできていくだろうし、EVにもすごく興味があります。サスティナブルな世の中を考えていくというのは私のテーマでもあり、そういう意味でもタイカンのような最新EVに乗ることは意味があるなと思います。できればアルファ・スパイダーのような旧いものと新しいもの、その両方のよさを知って、採り入れるというのが私らしいかな」
1978年生まれ、千葉県出身。女性ファッション誌の専属モデルとして活躍後、2000年に女優デビューし、以降、数々のドラマや映画、CMに出演。私生活では、1男1女、2児の母。公式Instagram(kyoko.hasegawa.722)、公式YouTubeチャンネルも大好評。ランジェリーブランド『ESS by(エス バイ)』のプロデュースも手がける。『ESS by』公式WEBサイト:http://ess-by.com
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