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規律とクリエイティビティ、たまに不協和音。マルニのフランチェスコ・リッソが、東京でのショーに込めた想い

2月1日(水)に東京・代々木第二体育館にて、マルニの2023-24年秋冬コレクションが発表。ショーに先立って、クリエイティブディレクターのフランチェスコ・リッソにインタビュー、コレクションに込めた想いを聞いた。

「楽器を演奏する時に求められるのが、規律とクリエイティビティ、そして途方もない練習量。これは、コレクション制作においても非常に重要なことです」。最近習い始めたというチェロのことを話す、フランチェスコ・リッソの言葉だ。そのことを反映してか、彼が東京で発表したマルニ(MARNI)の2023-24年秋冬コレクションは、美しいストリングスの音色に包まれた。

ニューヨークで披露された先シーズン2023年春夏に続き、ブランドの拠点であるミラノを離れてランウェイを開催したマルニ。会場に選ばれたのは、代々木第二体育館。1964年の東京オリンピックのために建設されたこの建物について、フランチェスコは「厳格な印象の外観に対し、中に入ると温かみが感じられる。その見事な調和に感銘を受けた」と語る。真っ白なランウェイに、雑然と置かれたシート、そしてセンターに構えたステージ。ストイックさと、ある種のカオスが混在するこの二面性もまた、フランチェスコの心情を表しているように見える。

一方で、コレクションを彩るカラーパレットは、見事なまでにストイックだ。イエロー、レッド、ホワイト、ブラック。ポルカドットやグリッド、オプ・アート柄、そして直線的なネックラインのドレスは、どこか60年代の近未来主義を彷彿とさせる。シャープな印象のシルエットが続いたかと思うと、ボリュームのあるパデットコートやモヘアのセットアップが柔らかな対比を演出した。

マルニと東京の共通項を「ルールにとらわれない自由さ」と語ったフランチェスコ。メンズモデルが着るミニドレスや、ヒールのスリングバックをはじめとしたジェンダー・ノンコンフォーミングなスタイリングが、規律とクリエイティビティの狭間で奏でられる美しい調べに、心地よい不協和音を添えた。

Photos courtesy of brand Text: Shunsuke Okabe