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新興国債務危機の解決に向けた改革案、ウォール街の反発招く

  • NY州ではソブリン債の再編プロセスを見直す法案が進められている
  • 法案は、各国の債務再編時に投資家が回収できる金額を制限する内容

ウォール街が好むと好まざるとにかかわらず、1兆6000億ドル(約225兆円)規模の新興国ソブリン債の世界で改革が計画されている。

  新興国のデフォルト(債務不履行)が過去最多に増加する中、こうした債務危機をどう解決すべきかを巡る議論が白熱している。一方、新興国と債権者の債務再編協議は滞っている。

  米ニューヨーク州では、債務救済関連の活動家や州の政治家らが、より恒久的な解決策を推し進めている。それは、ソブリン債の再編プロセスを見直す法律だ。

  一部の投資家に助言している法律事務所クリフォード・チャンスのパートナー、デボラ・ザンドストラ氏は「債務再編に向けた場当たり的な仕組みをどう改善すべきかを巡り、市民社会団体などによる多くの取り組みが進められている」と指摘した。

Five Countries Linger in Default as Risk Mounts in Others

Eleven more nations have dollar debt trading at distressed levels

Source: Bloomberg

Note: Data represents option-adjusted spread over Treasuries, compiled as of May 24, 2023

  新興国が発行する外債の約半分に適用される法律を制定しているニューヨーク州では、2本の法案が議会の委員会で審議されている。これらの法案は、各国の債務再編時に投資家が回収できる金額を制限する内容となっており、ウォール街の反発を招いている。

  ただ、何らかの見直しの必要性が高まっていることは、ほぼ全ての関係者が認めている。新興国11カ国のドル建て債のリスクプレミアムは少なくとも10ポイントで推移。これはデフォルトの可能性を示唆するディストレスト水準とされている。

  レバノン、スリランカ、ザンビアなどはすでにデフォルト状態に陥っており、債権者と合意に至るまで国際資本市場から締め出される形となっている。

原題:The Frantic Push to Solve Sovereign Debt Crises Irks Wall Street(抜粋)

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