チューダーの新作GMTは抜群の完成度!
チューダーは、Watches and Wonders Geneve 2023で「ブラックベイ GMT」の新カラーモデルを発表した。
ブラックベイ GMTといえば、時針を単独で調整できる実用性に優れたGMT機構と、アイコニックなカラーのベゼルが人気のモデルだ。2018年に登場した同作は、22年に18Kイエローゴールドをベゼルに採用したマットブラウン×ブラックを追加。今作が3パターン目のカラーバリエーションとなる。
気になる今作の配色は、定番のブルー×バーガンディベゼルにシリーズ初のオパライン文字盤という組み合わせだ。単なる文字盤の色違いと捉えられがちだが、こういった既存モデルの仕様違いで凝った差別化を図るのが今のチューダーである。
ガルバニック仕上げが施されたオパライン文字盤は粒子感を残した、マットシルバー系の色味をもつ。ブラック文字盤のもつツールウォッチ感は薄くなり、よりマルチパーパスウォッチ寄りの印象だ。ただの色違いとは思えないほどに、そのキャラクターは既存モデルとは異なる。
ホワイト系の文字盤にホワイトの時分針を組み合わせる同作では、カラーコントラストの低下が視認性の悪化につながるのではと、懸念を抱く人も多いだろう。しかし、そこはさすがチューダーで、まったく心配はいらない。
というのも、時分、秒針の枠をメッキでブラックに着色しているのだ。結果、針と文字盤にコントラストが生まれるうえ、針自体も蓄光塗料と枠の境目がはっきりとするため、強い光源下でもしっかりと時間を読み取ることができる。
と、ここまで主に変更点について述べてきたが、既存モデルから引き継いだ要素も同作の大きな魅力だ。搭載するマニュファクチュールムーブメント、Cal.MT5652がもつ信頼性の高さは相変わらずで、日差−2~+4秒/日というC.O.S.C.クロノメーター認定以上の高精度と、約70時間という使い勝手に優れたパワーリザーブをもち、加えてシリコン製ヒゲゼンマイによって磁気にも強い。
また、冒頭でも記載したとおり、GMTの操作性もピカイチ。おまけにヘッドとブレスレットの重量バランスも適切と、まさに現行GMTウォッチでトップクラスと言っても良い完成度をもつのだ。唯一の難点は、その入手性くらいか。
TUDOR
ブラックベイ GMT
SSケース&ブレスレット、自動巻き、41mm径、55万1100円。
SSケース×ファブリックストラップ、自動巻き、41mm径、51万400円。
日本ロレックス / チューダー
TEL:0120-929-570
https://www.tudorwatch.com
文・細田雄人
編集・神谷 晃(GQ)