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ドル下落、円やスイス・フランが急伸-米CPI鈍化で利上げ軌道再考

  • ドル指数、22年4月以来の低水準-CPIが急減速
  • 円は138円台前半に上昇、フランは2015年以来の高値

ドル指数が14カ月ぶり低水準となり、外国為替市場に波紋が広がっている。減速しつつある米国のインフレが過去数十年で最も積極的な金融引き締めに及ぼす影響について意識されている。

  スイス・フランは対ドルで2015年以来の高値に上昇。円は約1.5%上げて、1ドル=138円台に上昇した。ユーロは1ユーロ=1.10ドルを突破し、ポンドは一時1.30ドルを付け、共に約1年ぶりの高値水準となった。

  カナディアン・インペリアル・バンク・オブ・コマース(CIBC)の為替戦略責任者、ビパン・ライ氏は「米金融当局が利上げサイクルの終了に近づいているとの見方に一段の息吹を吹き込む」と指摘。「他の幾つかの主要中銀については、そのように断言することはできない。それがドル安の強力なシグナルとなっている」と述べた。

US Data Weighs on Dollar, Sending Currencies Soaring

Source: Bloomberg

  6月の米消費者物価指数(CPI)統計では、変動の大きい食品とエネルギーを除くコアCPIは前年同月比4.8%上昇と、2021年終盤以来の低い伸びとなった。

米CPI、6月は急激に鈍化-利上げ近く打ち止めとの期待高める (3)

  これを受けて、ブルームバーグ・ドル・スポット指数は22年4月以来の水準に低下。米国債利回りも下げた。

Cooling US Inflation Sends Dollar Flailing | World's reserve currency fell to lowest since April 2022
 
 

  この日はカナダ・ドルも上昇。カナダ銀行(中央銀行)は2会合連続で政策金利を引き上げた。中銀は成長予測を上方修正した一方、インフレ目標の到達時期が従来の想定よりも遅れるとの見方を示した。

カナダ中銀0.25ポイント利上げ、政策金利5%-長引くインフレを予想

  ノムラ・インターナショナルのストラテジスト、ジョーダン・ロチェスター氏は「ディスインフレが今のテーマで、それがトレードだ」と指摘。この先の米利上げ軌道に関しては、「7月に追加利上げを実施して、それで終了との見方がウォール街では一段と信認を得る可能性が高い」と話した。

原題:Dollar’s Slump Sends Franc and Pound Surging Amid Fed Rethink(抜粋)

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